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イギリスオバマのBPたたきに政界は猛反発
メキシコ湾原油流出事故で英石油大手BPは6月16日、被害補償原資として200億ドルを拠出するとオバマ米大統領に約束した。社名変更前の「ブリティッシュ・ペトロリアム」と呼び、批判の矛先をイギリスに向けたオバマの怒りがBPを動かしたのかもしれない。ただイギリスも黙ってはいない。
英保守党の重鎮ノーマン・テビット元幹事長は、英紙への寄稿でオバマの言葉について「党派政治家たる大統領の、多国籍企業に対する排外主義的パフォーマンス」と批判。保守党のロンドン市長ボリス・ジョンソンも、年金基金が運用するBP株の額の大きさを考えれば「(BPが)公共の電波でたたかれ続けることは国家的な懸念だ」と述べた。4月20日の事故発生以来、BP株は40%以上値下がりしている。
オバマ政権がイギリスの国益を損なう発言を続ければ、代償は思わぬ形で返ってくるかもしれない。保守派のイギリス人ジャーナリスト、ジェフリー・ウィートクロフトは英紙に「失ったカネの少なくとも一部は勝ち目のないアフガニスタンでの戦争から英軍を引き揚げることで取り戻せる」と書いた。
キャメロン英首相は10日にアフガニスタンを電撃訪問したばかり。12日のオバマとの電話会談でも、もっぱら話題は原油事故でなくアフガニスタンだったかもしれない。
(GlobalPost.com 特約)
[2010年6月30日号掲載]