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英司法ウッズ「SEX写真」差し止めの波紋
名誉毀損に厳しいイギリスの裁判所が、タイガー・ウッズの「存在するはずのない」写真の報道を禁じたが
お静かに 不倫報道ではメディアは黙っていてくれない Aaron Josefczyk-Reuters
芸能ゴシップサイトのTMZドットコムが報道の自由のために一肌脱いだ。イギリスの高等法院が出した、男子プロゴルフのタイガー・ウッズの恥ずかしい写真(その存在すらはっきりしないが)の報道を差し止める命令の全文を掲載したのだ。
英高等法院のデービッド・イーディ判事といえば、名誉毀損に関するイギリスの厳格すぎる法律を使い、国内外のメディアによる過熱報道を規制・処罰することで世界中に知られている存在だ。
今回の差し止め命令で同判事は、イギリスのメディアに対し、差し止め命令の付属文書に記載された情報を「他のいかなる人に対しても出版、再版、配信、伝達、使用、公表」しようとすることを禁止。
ちなみに付属文書によればこの報道してはならない情報とは「裸になった原告、原告の体のいかなる裸の部位、もしくはどんな形であれ性行為に関与している原告の、あらゆる写真、ビデオ、画像」だという。
差し止め命令には、具体的にどの報道機関を対象にしているかは記されていない。また、差し止め命令そのものや、命令に関する文書の報道も禁じられている。
TMZは、ウッズの代理人を務めるロンドンの大手法律事務所シリングズからの電子メールも公表。それによればシリングズは今回の命令を「そうした写真の存在を認めるものだと受けとめる」べきではないと主張している(付属文書にあれだけ書かれているのに......)。
またウッズは「そうした画像の存在を知らないし、彼はいかなる場合にもそうした写真の撮影に同意していないし、写真を流布したり利用したりすることに同意もしていない」という。
イギリスは名誉毀損訴訟天国
差し止め命令の厳しい規定にもかかわらず、この命令をめぐるニュースはイギリス国内でも伝えられた。英最大手のタブロイド紙デーリー・メールはウェブサイトに「存在しないヌード写真をめぐりタイガー・ウッズの弁護士が訴訟」と題した記事を掲載した。
これと相前後して、イギリス政府は名誉毀損に関する法律の改正について検討を始めた。現行法は原告に非常に有利にできていて、イギリスの内外で都合の悪い情報が報じられるのを防ぎたいセレブたちは、たとえ外国人であってもわざわざこの国の高等法院で訴えを起こす。
アメリカの一部の州や連邦議会は、イギリスの名誉毀損をめぐる司法判断がアメリカ国内で適用されることを禁じる法律を検討している。きっかけとなったのは、とあるサウジアラビア人実業家をテロリストへの資金提供者として名指しする本を書いたアメリカ人が、イギリスで名誉毀損で訴えられたことだ。
問題の本はイギリスで23部しか売れなかったのに、イーディ判事は11万ポンドの慰謝料の支払いを著者に命じたという。