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インタビュー「イランに二者択一を突き付けるべきだ」
Q&A 英労働党のホープ、ミリバンド外相に聞く
イランへの最後通告とアフガニスタン戦略の今後
イランは自ら不運を招いていると言う英ミリバンド外相
©Yiorgos Karahalis-Reuters
デービッド・ミリバンド英外相は労働党の若きホープで、将来の党首の呼び声も高い。パンアメリカン航空機爆破事件で服役していたリビア人の釈放、アフガニスタン戦略、中東和平、そしてイランの核問題について、本誌ラリー・ウェーマスが話を聞いた。
----88年のパンナム機爆破事件の実行犯とされるアブデル・バセト・アリ・アルメグラヒの釈放には納得できないが。
釈放はスコットランドの司法当局がスコットランドの法律に従って決めたことだ。
----あなたは反対したのか。
われわれが干渉すべき問題ではない。反対はしていない。
----釈放しないという米政府との取り決めになぜ背いた?
われわれはどんな「取り決め」にも背いていない。あのテロに対する人々の怒りはもっともな感情であり、英米両国で共有されている。一方で、スコットランドの司法当局が独立した権限を持つことは(人々の感情とは)切り離して考えなければならない。
----アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル司令官が8月末に提出した戦況に関する評価報告書をどう思うか。
状況の深刻さを訴えており、われわれも同感だ。安全保障・経済・政治の包括的なアプローチが必要だという主張にも同意できる。
マクリスタルは、アフガニスタン政府に治安確立と政治的な和解の主導権を取らせるべきだと言っているが、その点も同感だ。国際社会だけでなく、国民の信頼を確保するためにも、アフガニスタン政府が腐敗を一掃し、公正な統治を行うことが不可欠だ。
----アフガニスタン駐留部隊を減らすことを考えているか。
いや、考えていない。わが国の安全保障のために駐留は必要だ。
----オバマ政権は国民に説明していないが、駐留米軍が目指しているのはアフガニスタンの改革ではなく、パキスタン国境の管理ではないか。
国境線は2600キロに及ぶ。アフガニスタン政府がまともに国境警備を行えるようにする必要がある。2600キロも高電圧フェンスを張り巡らすわけにはいかない。
----中東和平のビジョンは?
われわれが「23カ国の解決」と呼んでいるビジョンがある。つまり、パレスチナを含む22カ国のアラブ諸国とイスラエルの和平だ。
パレスチナ国家の領土は、多少の領土交換はあっても、原則的に67年(の第3次中東戦争以前)の状態にほぼ戻す。難民問題の公正な解決も図る。エルサレムはイスラエル、パレスチナの2つの国家の首都とする。その代わり、イスラエルは晴れてアラブ世界から承認される。
----穏健派アラブ諸国の真の懸念はイランの核ではないか。
アラブ世界の最大の希望はパレスチナ国家で、最大の恐怖はイランだ。だがイラン問題も中東和平の一環と位置付けるべきだ。
----イランの核をどうするか。
いま科している制裁を続け、外交的な働き掛けで核計画を中止させる。イランには2つの選択肢しかないことをはっきり伝える必要がある。国際的なルールに従うか、国際社会の非難と制裁強化を覚悟するかだ。イランは自国を犠牲者に仕立てたがるが、実は自ら不運を招いている。
----対イランでは英仏はアメリカと足並みをそろえているか。
英仏の立場はこの問題では完全に一致している。10月1日に国連安保理常任理事国などと行う協議で、イランは国連と国際原子力機関(IAEA)に対する義務不履行を正すための具体的なステップを明らかにしければならない。
----イランの現体制にはほころびは見えるか。
大統領選前の国民的な議論と選挙後の人権を叫ぶ声が、イランの真の姿を浮き彫りにした。この国には、進歩的な考えを持つ教養ある人々が何百万といる。彼らは国際社会の一員にふさわしいイスラム共和国の建設という、まっとうなビジョンを持っている。
[2009年10月 7日号掲載]