最新記事

中南米

アホの双璧、チャベスとストーン

2009年9月10日(木)19時11分
デービッド・ロスコフ(カーネギー国際平和財団客員研究員)

次回作の主役はイラン大統領

 ストーン以外の人間にとってはありがたいことに、非常に考え抜かれた(そしてとても不安な読後感の残る)コラムが、8日付のウォールストリート・ジャーナル紙に掲載された。

 筆者はマンハッタン地区検事のロバート・モーゲンソーで、ベネズエラとイランは地域における最もたちの悪い体制だと述べている(イランとヒズボラ、ハマス、それにチャベスの間に共通点があることくらい、ストーンよりちょっとまじめに調べれば簡単に分かる)。

 モーゲンソーはこう書いている。


 なぜチャベスは、歴史的にも文化的にも縁の浅い国(イラン)に門戸を開こうと望んでいるのか? それはチャベス政権が中南米における地域大国を目指しているからだと私は考える。

(中略)実際のところ、イラン・ベネズエラ関係の下地は何年も前からできていた。今はその結果が出てくる時期にさしかかっている。

 これは世界でも特に危険な2カ国がアメリカの裏庭で、核やミサイル技術の開発分野で共同作業を行なうだろうということを意味する。また、テロ集団が訓練やテロ計画の立案にぴったりの場所と、麻薬取引という資金源を見つけたということかもしれない。


 彼の主張は、今週初めにチャベスがイランに石油を供給する意向を示したことでも裏付けられる。世界の主要国がイランへの経済制裁を検討していた矢先のことなのだから。

 イランが強硬姿勢を続ければ、アメリカはイランだけでなく、ベネズエラのようにイランに物資を供給している国ともぶつからざるをえなくなる。オバマ政権にとっては外交上の頭痛の種となるはずだ。

 だが、物事には常にいい面と悪い面がある。モーゲンソーはイランとベネズエラの協力関係について暗い未来図を描いたが、同じ関係からハリウッド流のハッピーエンドを思い描く人もいるはずだ。

 こういうときこそ、ストーン監督の出番だ。ガーディアン紙によると、ストーンは「イランのマフムード・アハマディネジャド大統領のインタビュー映画」を計画しているという。


Reprinted with permission from David J. Rothkopf's blog, 09/09/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米メーシーズ、第4四半期利益が予想超え 関税影響で

ワールド

ブラジル副大統領、米商務長官と「前向きな会談」 関

ワールド

トランプ氏「日本に米国防衛する必要ない」、日米安保

ワールド

トランプ氏、1カ月半内にサウジ訪問か 1兆ドルの対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中