最新記事

イラン

実はIT先進国のイラン、規制も実効なし

2009年6月26日(金)18時33分
マーク・ホーゼンボール(ワシントン)

インターネットカフェでチャットするイラン人学生 Reuters

 いくら宗教指導者が強い影響力を持つイランとはいえ、中世のやり方では21世紀のテクノロジーは取り締まれない。欧米の複数の公安当局関係者によると、イラン政府は反大統領派の勢いを止めようと、フェースブックやミニブログのトゥイッター、それに携帯メールを遮断しようと試みているが、うまくいっていない。あまりに普及が進んでいて対策が追い付かないためだ。

 イラン当局の取り締まりは「下手だ」と米諜報機関の元高官は言う。さまざまな手を試みてはいるものの「反大統領派の連絡を断つには至っていない」と言う。

 政府が複数の通信網の遮断に成功したときでさえ、効果は限定的だった。「みんな携帯電話を持っている」と言うのは、米国防総省の元情報分析官マシュー・バートンだ。通話やメール送信ができなくてもカメラで写真が撮れる。

 「ネットワークト・カルチャー」という名のブログによれば、公安当局はトゥイッターを利用して偽の情報を流したり、発信地点や時刻からデモ参加者を捜し出そうとしているという。そこで同ブログでは、捜査の網に引っ掛からないためのコツも紹介している。

 国外で生活する亡命イラン人や反大統領派に同情的な人たちも、抗議行動に力を貸している。あるヨーロッパの政府関係者は、国外に住むイラン人には高度な技術力の持ち主が多いと言う。 「シリコンバレーで最も有能な人材の3人に1人はイラン人だ」

[2009年7月 1日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ハマス急襲から1年、イスラエルで追悼や抗議 ガザで

ビジネス

ドイツ、24年は0.2%のマイナス成長見通し=経済

ワールド

イラン有力司令官は「元気」と軍幹部、レバノンで消息

ワールド

ウクライナ、ロシア産ガス輸送延長せず スロバキア首
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米経済のリアル
特集:米経済のリアル
2024年10月15日号(10/ 8発売)

経済指標は良好だが、猛烈な物価上昇に苦しむ多くのアメリカ国民にその実感はない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティアラが織りなす「感傷的な物語」
  • 2
    もう「あの頃」に戻れない? 英ウィリアム皇太子とヘンリー王子、「兄弟愛」の瞬間の映像に注目が
  • 3
    2匹の巨大ヘビが激しく闘う様子を撮影...意外な「決闘」方法に「現実はこう」「想像と違う」の声
  • 4
    「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨…
  • 5
    愛する息子の食事に薬をかけて...... 中国女優、我…
  • 6
    キャサリン妃も着用したティアラをソフィー妃も...「…
  • 7
    「輪島復興」に立ち上がる若者たちの声を聞け――過疎…
  • 8
    借金と少子高齢化と買い控え......「デフレ三重苦」…
  • 9
    習近平も演説で引用...トンデモ論文が次々生まれるほ…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 3
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティアラが織りなす「感傷的な物語」
  • 4
    借金と少子高齢化と買い控え......「デフレ三重苦」…
  • 5
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシ…
  • 6
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平…
  • 7
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 8
    NewJeansミンジが涙目 夢をかなえた彼女を待ってい…
  • 9
    羽生結弦がいま「能登に伝えたい」思い...被災地支援…
  • 10
    米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 3
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 4
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 8
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 9
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 10
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中