米関税「不確実性残る」、丁寧に見極め適切に政策運営=日銀総裁

4月9日、日銀の植田和男総裁(写真)は衆議院財務金融委員会で、トランプ米政権の関税政策について「今後どうなるかという点も含めて残っている不確実性はある」と述べた。日銀本店で3月撮影(2025年 ロイター/Manami Yamada)
Takahiko Wada
[東京 9日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は9日、衆議院財務金融委員会で、トランプ米政権の関税政策について「今後どうなるかという点も含めて残っている不確実性はある」と述べた。動向を丁寧に見極めながら「経済・物価情勢あるいは市場動向を確認し、見通しをしっかりと持ち、それに応じて適切に政策判断する」と話した。政府と緊密に連携しつつ、引き続き市場動向やその経済・物価への影響を十分注視していきたいとも述べた。
中西健治委員(自民)の質問に答えた。
植田総裁は、米国が打ち出した自動車関税や相互関税で「内外の経済・物価を巡る不確実性は高まった」と改めて述べた。どういう経路を通じて日本の経済・物価に影響を及ぼすか、複数の可能性があり、「現在、注意深く分析を続けている」という。
また、関税政策が今後どういった展開をたどるかという点も、まだある程度の不確実性が残っているとし、「こうした動向を十分に注視しながら、適切に政策運営を進めていきたい」と語った。
日銀はこれまで、実質金利が極めて低いことを踏まえ、経済・物価情勢をみながら段階的な利上げを行ってきた。植田総裁は、経済・物価情勢が改善する中でも低金利を続ければ金融緩和の度合いが過大になる恐れがあり、場合によっては物価上昇率が加速し、後になって急速な金利引き上げを迫られるリスクもあると指摘。
こうした状況を回避しつつ、経済・物価情勢に応じて適切に政策運営していくことが「物価安定を通じて、息の長い成長を実現していくことにつながり、国民経済全体にメリットを及ぼすと考えてきた」と説明した。