プーチンがヒラリーの選挙動画を18禁に?
社会の多様性を讃える動画がプーチンの法律に違反する理由
危険思想? 未成年を同性愛から守る、と言うが Screen Shot / YouTube
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって、ヒラリー・クリントン米元国務長官はただでさえ癇に障る存在だ。その上、2016年米大統領選への出馬を表明したクリントンのキャンペーン動画は、将来の結婚について話し合う男性の同性愛カップルが登場する。神経が逆撫でされるどころの話ではない。
かつてプーチンが作った法律のおかげで、この動画はロシアでは違法になる可能性がある。ロシア最後の独立系テレビ局で反骨精神にあふれるテレビ・レインは、放送にあたってこの動画を成人指定にした。同局の広報担当者によれば、ロシアでは同性愛宣伝禁止法で未成年者に同性愛を「宣伝」することが禁じられているので、告発を避けるために指定をしたという。自主規制をしたわけだ。
クリントンが出馬表明と共にリリースしたキャンペーン動画『さあ始めよう』は、社会の多様性を賛美している。手をつないだ男性2人が今度の夏に結婚しようと話し合うシーンもその1部だ。
ロシアでは同性愛者に対する差別感情が高まっており、AP通信が行った世論調査によると、国民の63%が同性愛を社会に受け入れるべきではないと考えている。反同性愛団体が作った動画はネット上で広く拡散されている。人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれを、ロシア当局が見て見ぬふりをしている暴力的なトレンドの1つだとして懸念する。
未成年に対する同性愛の宣伝を禁じた法律は2013年にプーチンが署名、成立させた。ロシア内外の人権活動家は、こうした法律は若者を守る代わりに不寛容な態度を広めるだけだと非難。スポーツ選手や国際団体に2014年のソチ五輪のボイコットを呼びかけた反プーチン派もいた。