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テクノロジー本は図書館サイトで借りてキンドルで読む!
キンドルユーザーが図書館から電子書籍を借りられるサービスの開始が決定
どこでもライブラリー サイトから電子書籍をダウンロードするだけ Brian Snyder-Reuters
アマゾンの電子書籍端末キンドルのユーザーは、もうすぐアメリカの図書館から電子書籍を借りることができるようになる。先行してサービスを行っているイギリスと同じような問題に見舞われなければ、アマゾンにとってもキンドルユーザーにとっても嬉しいサービスになりそうだ。
アマゾンは20日、「キンドル図書館貸し出しプログラム」を今年中に開始すると発表、全米1万1000カ所以上の図書館で利用可能になるという。
全米図書館協会のロベルタ・スティーブンス会長はこの新サービスを「当然の帰結」と、ニューヨークタイムズ紙に語っている。「驚きはしない。これまで書籍市場で大きなシェアを占める図書館を無視していたほうがおかしい」
だがイギリスでは先月、大問題が持ち上がったばかり。大手出版社のハーパーコリンズが突如、1冊あたりの貸し出し回数は最大26回と制限をかけてきたのだ。英ガーディアン紙によれば、怒った図書館員たちは今ハーパーコリンズの本の不買運動を呼び掛けている。
英図書館員・情報専門職協会のフィル・ブラッドリー副会長はブログで「何とばかげた、後ろ向きな動きだろう」と批判している。「直接被害を受けるのは、図書館の利用者。電子書籍が借りづらくなり、本を読む機会が失われるかもしれない。さらに、出版社がいつでも好きなときにルールを変えられるとなれば、図書館側は電子書籍の購入を躊躇するようになるだろう」
急増する電子書籍の貸し出し件数
アメリカでは、借りた本はアマゾンのキンドルだけでなくキンドルのソフトウェアを搭載したiPadやアンドロイドの携帯端末でも読むことができるようになる。
サービスの内容は、既に図書館貸し出しサービスを始めているソニーリーダーやバーンズ&ノーブルのヌックと同様のものになるだろう。ただし新しい特徴もある。ユーザーは電子書籍の余白にメモを書いたり、どこまで読んだかを複数のデバイスで共有できる「ウィスパーシンク」を使ったり、再度借りるときのために最後に読んだページに印を付けておくこともできる。
利用したい図書館の会員であれば、誰でも借りられる。図書館のウェブサイトを通じて電子書籍をダウンロードし、最大3週間の貸し出し期間が過ぎれば自動的に消去される。
全米図書館協会の最新の調査によると、全米の公立図書館で電子書籍の貸し出しを実施しているのは72%で、アメリカの成人で電子書籍リーダーを持っているのは5%だという。
ほとんどの図書館では、全体の貸し出し件数に占める電子書籍の割合は小さい。しかし急速に拡大しているのも事実だ。シカゴ公立図書館では、09年に1万7000件だった電子書籍の貸し出し件数が、10年には3万6000件以上にまで倍増している。
(GlobalPost.com特約)