二宮和也×監督対談『ラーゲリより愛を込めて』 瀬々敬久「二宮くんからお願いされたこと」
HOPE, BONDING AND LOVE
(左から)松坂桃李、瀬々敬久、二宮和也 ©2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ©1989 清水香子
<話題作の今日的意義から演出・演技論、撮影の裏話まで、主演俳優・二宮和也と瀬々敬久監督が舞台裏を語り合った>
シベリアの強制収容所が舞台の映画『ラーゲリより愛を込めて』(12月9日公開)の主人公・山本幡男(はたお)を演じた二宮和也と監督の瀬々敬久に、作品の今日的意義から演出や演技論、撮影の裏話までざっくばらんに語り合ってもらった。
――この作品に参加した経緯から教えてください。
瀬々敬久 プロデューサーから、こういう原作(辺見じゅん著『収容所〔ラーゲリ〕から来た遺書』)があるが興味はあるかと言われて。読んでみて、最後の友情が生んだ奇跡のような実話にすごく興味を持ちました。
僕が子供の頃は「岸壁の母」がヒットしたり、夏になるとシベリアに遺骨を捜しに行くことがニュースになったりして、抑留の話が一般の日本人にとってまだ近しい感覚だった。最近は忘れられがちになっているから、もう一度自分たちの歴史として捉え直すことも大事だなと感じ、やりたいと思ったんです。
二宮和也 僕がお話を頂いたのはちょうど嵐が活動休止になる年だったので、申し訳ないですが嵐の仕事に集中したいとお伝えした。その時にプロデューサーから「待ちます」と言っていただけたので、活動を休止してから撮影に入りました。
こうした戦争についての作品だったり、瀬々さんとだったり、出演したいと思う方は大勢いるなかで、そうした判断をしていただいてありがたかったです。
二宮 瀬々さんはわりと硬派な、人間を捉える作品が多いという印象を持っていました。
僕自身はアクションができるとか、違う言語が話せるとか、何か突出したものがある人間ではないので、瀬々さんの組に行ったときにどんなことができるかなと作品を見ながら考えたりしましたが、実際に現場に入ってみて、とてもチャーミングな方という印象を持ちました(笑)。
あと、大勢の役者陣の名前を覚えている点がすごくて。例えば僕と桐谷(健太)くんが手前で芝居をしていると、後ろにいる人の名前も頭に入っている。今回は群像劇だったから役者がたくさんいるのですが、「君!」とか「そこの!」じゃなくて、「何々くんと何々くん、もうちょっとこっちだよ」と指示を出したりする。それがすごく多いんですよ。僕ら主要な俳優は途中から、「瀬々さん、僕たちのこと見てるかな?」と不安になるくらい(笑)。僕は初めて会いました、そういう方に。
トップの人間が見てくれているって思えたら、役者のモチベーションは上がりますよね。だから現場の活気はすごくありました。