いま知っておきたいウォーレン・バフェット流投資、銘柄選びの6つの基準は?
「投資の神様」ウォーレン・バフェット(2019年撮影) Scott Morgan-REUTERS
<30年以上の実績をもつファンドマネージャーが明かす、「投資の神様」バフェットの極意>
バフェットの投資手法
「投資の神様」と言われているウォーレン・バフェットの投資手法を取り上げたいと思います。
バフェットは、企業のオーナーとしての視点を持ち、投資した企業の利益を保有株数に応じて自分自身の利益と見なします。配当として支払うか、内部留保として再投資するかは、利益をどう使うかという選択の問題にしか過ぎない、としています。
そんなバフェットの投資手法では、長期の複利効果のメリットを受けることができます。そのためには、今期や来期の業績動向も重要ですが、それよりも「今後10年にどれだけの利益を上げられるか」のほうがはるかに重要になります。コモディティ型企業ではなく消費者独占型企業を選び、あとは長期的な複利の効果に任せる、ということです
バフェットの投資手法の最大の特徴は、「悪材料で売る一般投資家やファンド・マネジャーの裏をかく戦法」と言えます。市場の短期指向と悪材料の組み合わせはむしろ"贈り物"というわけです。
●コモディティ型企業とは
他社との差別化ができない低付加価値の事業を行っている企業がコモディティ型企業です。顧客にとっては「価格」が唯一最大の選択基準となります。最も低い価格を提示できるところが多くの顧客を獲得できるため、低コストの企業だけが勝ち残れます。
代表的なビジネスは、航空会社、穀物、鉄鋼、石油・天然ガス、紙・パルプ、自動車などです。
コモディティ型企業には、低い売上高利益率と低い在庫回転率、低いROE(株主資本利益率)、低いブランド価値、多数の競争相手、強い労働組合、大幅な過剰生産能力、景気の影響を受けやすい利益水準、設備稼働率に大きく依存している利益体質などの特徴があります。
●消費者独占型企業とは
ブランド価値の高く、強い市場支配力を持っており、価格競争に巻き込まれにくい企業が消費者独占型企業です。
その会社の製品やサービスを使わざるを得ないような企業であり、業績のブレは小さく、短期的な逆風を乗り越えていく力があります。大きな資本を要する土地、工場、機械設備などへの依存もしていませんし、たとえ能力の劣る経営者の下でも、その市場支配力が損なわれることはあまりありません。
バフェット流の銘柄選び
バフェットの投資手法では、以下のような基準で、投資対象となる企業を見つけます。
●消費者独占力を持つ(と思われる)製品・サービスがある
優れた製品やサービスの存在は重要な必要条件ではあっても、それだけで優良企業としては十分とは言えません。
●EPSが増加基調にある
株主価値がどれだけ増えるかは、その企業の1株あたり利益(EPS)がどれだけ成長するかにかかっています。EPSの成長のためには、利益の一部を内部留保し、より収益性の高い再投資を実践していかなくてはなりません。それを毎年繰り返すことによってEPSは成長し、やがてそれが株価に反映され、株主価値の増加が実現されます。