テレ朝・大下容子の「たたかわない生き方」──「女子アナ」、23年間の継続、女性の働き方、SNS
<情報番組「ワイド!スクランブル」のMCを23年務める女性アナウンサー、大下容子さんが人生初の本を発売。ずっと第一線で活躍してきた秘訣を聞いた>
女性アナウンサーが「女子アナ」と呼ばれ出したのは、一体いつ頃からなのだろうか。
「子」と入っているのを見ても分かる通り、女子アナには「若くてキレイ」という要素ばかりが求められ、時にはタレントまがいの活動まですることもある。そしてそこには当然、熾烈な椅子の争いもある(と思う)。
テレビ朝日アナウンサーの大下容子さんは23年間にわたり、そんな戦場のような現場の中心に佇んできた。2018年からはメインMCに、そして2019年からは、自身の名を冠した番組タイトルになった。
ずっと第一線で活躍してこられた秘訣は何なのか。2021年の秋に、初めてのエッセイ『たたかわない生き方』(CCCメディアハウス)を発売した大下さんにうかがった。
「女子アナ」は別世界だと思っていた
――今回が初めての著書だそうですね。これまで本を出そうと思ったことはないのでしょうか?
これが人生初の本です。私は文才もないですし、淡々とした人生なので(笑)、書くほどのものはないと思っていて。でも今回、編集者の方が「本を出しませんか?」と言ってくださいました。
私は「ワイド!スクランブル」を23年続けていて、多種多彩な番組を担当してきたわけではないので、とてもびっくりしました。「書くことは特にないのです」とお伝えしようと思ったら、企画書に『たたかわない生き方』とありました。
それを見て「そういえば私って、そういうところがあるな。なぜ私のことを分かってくださってるんだろう」と思って、編集者の方にお目にかかってみたくなって。だからタイトルは私が考えたのではなく、頂いたものなんです。
――大下さんがテレビ朝日に入社した1993年は、90年代女子アナブームの真っただ中でした。当時、他局では歌をリリースしたり雑誌の表紙を飾ったりする女子アナが生まれる中、どんな思いを持っていましたか。
とにかく別の世界の人というか、同じ女性アナウンサーであっても同じじゃないと思っていました。タレント性が違いますし、だから私はテレビ朝日以外、全部一次試験で落ちているんです(笑)。
でもテレビ朝日は、人気のある1人(のアナウンサー)に仕事が集中するのではなく、常に皆で仕事を分け合っていたので、居場所があった。確かにごく一部のタレント性のある方が目立つのは事実ですが、そうでないアナウンサーも沢山います。だから自分も含めて、まばゆいのがアナウンサーとしての全てではないと思っていました。
――1998年に「ワイド!スクランブル」のMCになられて23年が経ちます。ずっと番組が続いてきた理由は、何だと思いますか?
私も不思議ですし、同時にありがたいことだな思っています。番組が始まってからは俳優の大和田獏さんと11年、寺崎貴司アナウンサーと4年半、元高知県知事の橋本大二郎さんとも4年半と、その時々のパートナーとともに1日1日一生懸命やっていたら、結果として続いてきたという感じです。
自分が続けたいと強く思っていたというよりは、毎日のオンエアにベストを尽くすしかないと思っていたら、いつの間にか23年経っていました。
かつて同じ時間帯に「笑っていいとも!」(フジテレビ)や「午後は○○おもいッきりテレビ」(日本テレビ)といった高視聴率番組があったので、あまり期待されていなかったのでしょう(笑)。結婚や出産という起伏がなかったのも、理由かもしれません。