米ISM製造業景気指数、3月は50割り込む 関税受けた停滞示唆

米供給管理協会(ISM)が1日発表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0に低下し、3カ月ぶりに拡大・縮小の分岐点となる50を割り込んだ。写真は2024年3月、オハイオ州コロンバスの工場で撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
Lucia Mutikani
[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が1日発表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0に低下し、3カ月ぶりに拡大・縮小の分岐点となる50を割り込んだ。製造業におけるインフレの指標となる支払い価格も約3年ぶりの水準に急上昇した。トランプ米政権の関税措置の影響を巡る懸念の高まりを示唆した。
PMIの市場予想は49.5。2月は50.3だった。
構成指数では、先行指標となる新規受注が45.2と、前月の48.6から低下し、2023年5月以来の低水準となった。
支払い価格は69.4と、前月の62.4から上昇。22年6月以来の高水準となり、モノの価格の上昇が続き、物価上昇圧力が高まる可能性を示唆した。
供給業者の納入を示す指数は53.5と、2月の54.5から小幅低下した。50を超えると納入の遅延を示す。
雇用は前月の47.6から44.7に低下した。
3月は繊維、一次金属、コンピューター・電子製品を含む9業種が拡大。一方、機械、木材、化学製品を含む7業種が縮小した。
電気機器や電化製品など複数のメーカーが、需要増加の証拠はなく、「関税措置の影響とその対策戦略が日常的な話題になっている」と指摘。また機械メーカーは「事業状況は急速に悪化している」と報告した。
トランプ大統領は4月2日に「相互関税」の発表を予定する。トランプ氏は、関税は減税を相殺して歳入を増やし、長らく衰退傾向にある米産業基盤を復活させる手段とみている。
一方、エコノミストらは、輸入関税はインフレ高進を招き、経済に悪影響を及ぼすと批判的な見方を示す。
LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は、「物価が上昇する一方で景気が停滞していることは、経済がスタグフレーションに陥る可能性があることを示唆している」と指摘。
「企業と消費者の不安定な信頼感が支出を減速させ、単なる景気鈍化以上の事態を引き起こす可能性があるため、連邦準備理事会(FRB)は厳しい立場に置かれている」と述べた。