最新記事

自動車

「ディーゼル神話」崩壊、ドイツがEVへ急転換、一方トヨタは...

今年10月、ディーゼル車への課金を始めるロンドン。英国は内燃機関の車に強硬な姿勢だ pcruciatti-iStock.

2040年までにディーゼル車、ガソリン車の販売を禁止する──。

フランス、そして英国が7月、内燃機関のみで走る車への抜本的な規制導入の方針を発表し、世界に衝撃が走った。

元凶はディーゼル車だ。力強い走りやハイブリッド車(HV)並みの燃費に加え、税制優遇のメリットもある。「クリーンディーゼル」といううたい文句で、欧州の乗用車販売で半分以上を占めてきた。だが、その虚構性が明るみに出た。

すべてはVWの不正発覚から始まった

始まりは、2015年秋に発覚した独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼルエンジンにおける排ガス不正である。規制されている窒素酸化物(NOx)の排出量を、室内での測定試験時のみ抑える違法なソフトウエアを搭載。結果、路上走行では最大で試験値の40倍ものNOxを放出していた。

toyokeizai170817-2.png

それから2年弱の間、VW以外にも、ドイツを中心に自動車大手の不正疑惑が相次いでいる。

背景にはVW問題以降、路上走行中の排ガス量に注目が集まったことがある。2015年末から、欧州委員会や各国政府、民間調査機関などで実走行測定が始まった。

従来、試験値と実走行値の乖離は専門家であれば把握していた。だがドイツでは、自国の産業を保護したいロビイストや政治家が多く、見過ごされてきた。「欧州勢は法の網の目をかいくぐって、ディーゼル車を売ってきた」(日系メーカーの技術者)との批判は多い。

ただ欧州委員会は、VWの不正発覚を境に態度を硬化。大気中のNOx量削減を各国に要請し、ドイツには、自国産業への甘さについても警告した。

イメージの悪化により、消費者のディーゼル離れが著しい。2017年1~3月の乗用車販売に占めるディーゼル車比率は、ドイツや英国で、それぞれ2015年から4~5%減少した。

シェア低下が顕著なのがフランスやスペインといった小型車がよく売れる国だ。規制強化でかさんだ排ガス浄化部品のコストを吸収できず、車両価格が上昇。税制優遇の縮小なども響いた。

toyokeizai170817-3.png

欧州各地でディーゼル規制が強まる

追い打ちをかけるのが、乗り入れ規制や課金制度の導入の動きだ。今年10月から英ロンドンでは、市中心部への一部のディーゼル車の乗り入れに1日10ポンド(約1500円)が課される。

ダイムラー本社のある独シュトゥットガルトでは7月28日、市内へのディーゼル車の乗り入れ制限を支持する判決を地方裁判所が下した。BMWの地元、ミュンヘンでも同様の議論が盛り上がっている。

一連の動きを受け、自動車各社や独政府は8月2日、国内でディーゼル車500万台超の無償修理を行うことに合意した。規制強化の流れに歯止めをかけたいメーカー側の意図が透ける。

ドイツ在住の自動車ジャーナリスト、木村好宏氏は、「来月の総選挙を鑑み、穏便に解決したい独政府の思惑もあった」と分析する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネトフリ、テレビの言語オプション強化 海外作品の視

ワールド

EU、米相互関税に対抗措置準備 欧州委員長「世界経

ビジネス

三菱商、今年度1兆円の自社株買い 28年3月期まで

ワールド

米財務長官、対イラン制裁で大手銀16行に警鐘
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中