【2016年注目の動き】自動運転車と配車サービス、小型ドローン、VR
昨年いっきに芽吹いた印象のある各技術が、今年どこまで成長するか
VRが普及する? 先日パリで行われたCOP21でもVRヘッドセットを使ったプレゼンが行われた Stephane Mahe-REUTERS
テクノロジー分野に関する「2016年注目の動き」といった趣旨の記事が、年末から年始にかけて複数の米媒体に掲載されていた。また米国では6日から始まる「CES 2016」(毎年恒例の家電分野のトレードショー)に合わせて、その見所を予想する記事も出ていた。
これらで共通して挙げられているのは、自動運転車、ドローン、VR、ウェアラブル、スマートホームなど。またこれらとのつながりからAI(人工知能)やセンサー、チップ類、それに全部を包括するIoTといった基幹要素を挙げたものも見かけた。全体として「昨年いっきに芽吹いた印象のある各技術が、今年どこまで成長するか」といった状況といっていいかもしれない。今回は主に自動運転車、ドローン、VRの3つの分野について現状をおさらいしてみる。
(1)自動運転車と配車サービス
まずいちばん注目度が高そうなのが自動車の分野で、CESでは大手自動車メーカー9社が出展したり発表を行ったりする予定・・・などと呑気に書いていたら、さっそくGM(ゼネラル・モータース)が配車サービス(ライドシェアリング)の米リフト(Lyft)に5億ドルを出資し、共同で自動運転車の開発を進めることになった、というニュースが米国時間1月4日に報じられて、大きな話題になっていた。今回のCESでGMのメアリー・バッラCEOが行う予定の基調講演のなかでも、この出資・提携に関する話に多くの時間が割かれることになっても不思議はないように思える。
グーグルがフォードと提携して配車サービスの合弁会社を設立するのではないか、その発表をCESで行うのでないか、という話が昨年末に流れていたのは前回の記事に記した通り。現時点ではまだ未確定のグーグルーフォードの提携話が本当に発表されると、米国で生き残った大手自動車メーカー2社がそれぞれシリコンバレー勢と手を組むことになる。日本勢やドイツ勢に比べて世界的には旗色がよくないようにみえる米国の2社がシリコンバレーとの相乗りを真っ先に決めたというのも興味深い点だが、これで一時的に取り残される格好の他の自動車メーカーや、独自に技術の開発を進めようとしているウーバー(米配車サービス最大手で世界展開を進行中)、あるいはテスラモーターズ、そして以前から自動車開発の噂が絶えないアップルなどがどういう動きを見せるかも気になるところ。
今回のGMーリフトの提携話で改めてはっきりしたのは、自動運転車開発に関する配車サービス事業者の影響力の大きさだろう。
配車サービス分野では、昨年ウーバーが中国に進出したのをきっかけに、ウーバーに対抗する大手各社の提携が活発化している。具体的には昨年初めまで中国市場で競合していたディディとクァイダイの大手2社が2月に合併、さらに昨年12月にはこのディディ・クァイダイ(Didi Kuaidi)とインド最大手のオラ(Ola)、東南アジア各国で事業展開するグラブタクシ(GrabTaxi)、それに米リフトが、サービスの相互乗り入れなどを含む業務提携を発表。またディディがリフトやタクシグラブに出資して・・・といった具合だが、このリフトに楽天が出資していたり、あるいはソフトバンクがディディやオラにも出資していたりもするので、一概に「海の向こうの話」とは片付けられない。