グーグルの「スマート・ジーンズ」は使えるか
布地に電気回路を縫い込みスマホ画面のように使えたら便利なのか?
失敗作 グーグルのエリート開発チームが考えることは荒唐無稽 Thomas Peter-REUTERS
動きが速いサイバー領域では、スマートフォンもスマートウオッチも既に過去のもの。だが、ジーンズがコンピューターになるとしたら、新しい。
グーグルの「最新技術プロジェクト(ATAP)グループ」が先月末に発表したプロジェクトのなかでも、観衆の想像力を最も刺激したのが、プロジェクト・ジャカード。ジャカード布でできた服をコンピューターにつなごうというものだ。
縦糸と横糸でできている布地は、面白いことに、タッチスクリーンに付いている電子回路と構造が似ている。一部の糸を回路に置き換えれば、理論上は、服がセンサーになり、スマホやタブレットと同じように、我々の指の動きをパターン認識できるようになる。他に必要なのは、シグナルを受け取りスマホに送る、ボタン大の小さなデバイス。
グーグルATAPのテクニカルプログラムの責任者イワン・ピプレフは、プロジェクト・ジャカードは「身の回りの基礎的な材料を交信可能にすることだ」と説明する。
ATAPのプロジェクトはいつも成功するわけではない。同じウエアラブルでもグーグル・グラスは失敗作だ。だが。ジャカード計画の面白いところは、本当に将来性がありそうなこと。ファッション評論家たちも同意見だ。
「大きなイエスよ」と、ファッショントレンド予測会社WGSNのシニアエディター、ソフィー・ルーシー・ドウルフは言う。グーグル・ジャカードも、スイスの繊維会社フォースター・ローナーが作るスマート・ファブリックも、必ず市場で成功すると請け合う。
電子回路が付いて洗濯もできるe-ファブリック技術はまだ生まれたばかりだが、既に繊維産業を作り変えはじめている。デザイナーたちが、大きな可能性を秘めたこの新しい素材を見い出し、実験を始めているからだ。
伝導性の糸は、実はそれほど新しくない。ラルフ・ローレンは昨年、「ポロ・テック」シャツを発売した。ストレッチがきいたぴったりしたシャツで、心拍数や呼吸数などの生体データを測ることがき、データをiPhoneに送ることもできる。