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エアラインユナイテッド航空ボイコット、原因はコカ・コーラ
たまたま陰険なCAに当たったのか、企業体質か、憤懣やるかたない乗客の叫び
イメージダウン アメリカ社会の縮図なのか Louis Nastro-REUTERS
ユナイテッド航空でシカゴからワシントンに飛んだイスラム教徒の大学職員タヘラ・アーマド(31)は、機中で悔し涙に暮れることになった。キャビンアテンダント(CA)に差別的な扱いを受けた、というのだ。
原因はダイエット・コーク。CAにダイエット・コークを注文したのが始まりだ。CAが持ってきた缶は既にキャップが開いていた。アーマドが未開封の缶と交換して欲しいと言うと、その女性CAは「誰も口はつけていないから平気よ」と拒絶した。アーマドが繰り返し頼むと、「未開封の缶は渡せない。だからあなたのダイエット・コークもなしね」と、CAは言ったという。
驚くことはさらに続いた。CAがアーマドの隣りの席の男に未開封の缶ビールを渡したのだ。アーマドが扱いが違うと抗議すると、「未開封の炭酸飲料は武器に使われる危険があるから渡せない」と答えたという。差別だと非難すると、CAは、未開封の缶を持ってくる代わりに男のビール缶に手を伸ばしてキャップを開けた。
何より悔しかったのは、周りの乗客が誰も彼女の味方についてくれなかったことだ。アーマドが周囲にこの差別を目撃したか聞くと、通路の向かいの男は「ムスリム女め、黙ってろ」と怒鳴った。他の乗客も関わりたくないと言わんばかりに首を振った。
ユナイテッド航空は、「我々は従業員に対しても乗客に対しても差別はしない」と声明を出した。「ミス・アーマドに直接連絡を取って、事情を聴いている」
また別の声明で、ユナイテッドはこの事件を「ダイエット・コークの缶をめぐる誤解」と表現している。
差別の訴えを黙殺し、些細な出来事に矮小化しようとするユナイテッドの姿勢に心から失望した、とアーマドは言う。
アーマドが事件の一部始終をフェイスブックに公開すると、たちまち怒りのコメントが殺到。ユナイテッド航空のボイコット運動にまで発展している。
© 2015, Slate