中国、融資伸び悩みで「放置インフラ」が急増
資金調達難から工事が1年ストップしている例も
5月22日、中国でインフラ整備の遅延が深刻化しているのは、地方財政改革も要因になっている。写真は5月に撮影された山東省のビル建設現場(2015年 ロイター)
[上海 22日 ロイター] - 鉄筋コンクリートの骨組みの傍に静止したクレーンとごみの山──。上海市閔行区で約4万人分の低所得者向け住宅が建設される予定だった土地は、今では中国の経済減速を象徴する場所となっている。
住み込みの管理人だという男性は「資金不足で作業は1年近くストップしている」と話す。
昨年初め以降、中国は景気の減速を食い止めるために約2兆元(3200億ドル)相当のインフラプロジェクトを認可しているものの、工事のストップや遅れが日常的になっている。経済成長率が25年ぶりの低水準に落ち込む見通しで、資金調達難も広がるなか、こうしたプロジェクトは今後も増えそうだ。
中国当局は先週、銀行に対し、地下鉄や低所得層向け住宅を中心とする地方政府の進行中プロジェクトへの融資は減らさないよう命じた。
1─4月の固定資産投資は、2000年12月以来の低い伸びを記録。統計でも状況の悪化が示されている。
Jキャピタル・リサーチのアナリスト、スザンナ・クローバー氏は「プロジェクトが策定されてから実際に資金が手当てされるまで6─12カ月かかることもあり、遅れが目立ってきている」と指摘。「2009年、10年、11年のインフラブームの頃は進み具合が本当に速かった」と振り返る。
支払いまでの期間も伸びている。トムソン・ロイターが中国の建設・建材企業87社を対象に実施した調査によると、顧客から支払いを受け取るまでにかかった日数の中央値は昨年末時点で177.23日となり、2010年の2倍となった。
<連鎖的影響>
プロジェクト受難の要因は、当初設計のミスなどとさまざまだ。
昨年11月に国営メディアが報じたところによれば、鉱山で知られる山西省大同市では、2013年に市長が別の市に異動になったことを受けて125件の建設プロジェクトがストップしたという。
上海市閔行区のプロジェクトの停止は、地元メディアによると、土地を購入した企業が浙江省における不動産契約で損失を出したことが要因だという。