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グーグルモトローラ買収は壮大な判断ミスか?
自前の携帯端末でiPhoneに対抗するグーグルに立ちはだかる利益相反と独禁法の壁
友人を裏切る行為? これまで多くのアンドロイド携帯を売ってきたサムスンも、これからはグーグルの競争相手になるのか(ジャカルタ) Beawiharta-Reuters
グーグルの決断は確かに大胆ではある。
8月15日、グーグルは米通信機器大手モトローラ・モビリティを125億ドルで買収すると発表した。自社のスマートフォン向けOS「アンドロイド」を搭載した携帯端末を製造するモトローラを傘下に収めることで、グーグルは自前の端末を手に入れ、アップルのiPhoneとの直接対決に乗り出すことになる。
アンドロイドの売れ行きが絶好調であるという意味では、戦略的に理にかなった判断だろう。ガートナー・リサーチによれば、スマートフォン市場でアンドロイド搭載端末が占める割合は、今年の第2四半期には43・4%に達したという(1年前には17%だった)。
「モトローラ買収によって保有特許のレパートリーを強化できるため、競争を阻止しようとするマイクロソフトやアップルなどの脅威からアンドロイドを守り、競争を促進できる」と、ラリー・ペイジCEOはブログに書き込んだ。
だが、グーグルの大胆な決断は本当に賢明といえるのだろうか。
元ウォール街のアナリストで、経済ニュースサイト「ビジネス・インサイダー」の記者ヘンリー・ブロジェットは、この買収が悲惨な結果に終わる可能性を説得力のある言葉で論じている。
この取引は、企業間に重大な利益相反を生む。携帯端末の製造はグーグルの中核ビジネスとはまったく異なるのに、グーグルは今後、韓国サムスン電子などこれまでアンドロイド端末を売ってきたパートナー企業と競合することになる。しかも、巨大企業のモトローラを買収すれば、グーグルの企業規模は6割増となる。しかもこの買収は前向きなものでさえなく、防御的なものだ。
■競争を阻害する買収ではないと主張するが
さらに、独占禁止法がらみの問題もある。ニューヨーク・タイムズの金融ニュースサイト「ディールブック」は、その点を次のように論じている。
この買収には間違いなく、独禁法違反の疑いがかけられるだろう。米連邦取引委員会(FTC)はすでに、複数の分野でグーグルの寡占状態を調査している。関係筋によれば、グーグルが買収を撤回した場合にはモトローラに違約金25億ドルを支払い、モトローラが撤回した場合にはグーグルに3億7500万ドルを支払う契約になっているという。
グーグル陣営は15日の電話会議で、この買収は最終的にはスマートフォン市場の競争力を強化することになるとして、当局の承認を得られると自信をのぞかせた。
「この買収は競争を阻害しないと思う」と、同社の最高法務責任者デービッド・ドラモンドは言う。「グーグルはこれまで携帯端末を製造してこなかったから、これは水平統合にあたらない」。