最新記事

自動車

初音ミクを起用したトヨタの狙い

アメリカのコアなアニメファンの口コミCMが、ソーシャルメディアで一気に広がることを期待

2011年6月21日(火)16時20分
知久敏之(本誌記者)

異例の登板 アメリカでの知名度は必ずしも高くないが(カローラのCM) Toyota USA's official YouTube channel

 今月初めからアメリカで放送が始まったトヨタの最新型カローラのCMは、他の自動車CMとひと味違う。黒いコンパクトカーがさっそうと摩天楼を駆け抜けるところまではありがちな展開だが、運転席から降り立つのはツインテールの水色の髪が膝下まで伸びるCGアニメの少女。日本が生んだバーチャルアイドル「初音(はつね)ミク」だ。

 初音ミクは、札幌のソフト会社クリプトンが07年から販売している音声合成ソフトのキャラクター。メロディーと歌詞を入力して少女が歌う楽曲を作成し、別のフリーソフトを使ってCGアニメを作ることもできる。国内では実在のアイドル並みの人気を誇り、昨年5月には初音ミクが歌うアルバムの売り上げがCDランキングで1位になった。

 しかしアメリカでは一般的な知名度は低く、そもそも自動車のCMにアニメキャラクターが登場すること自体が珍しい。トヨタによると今回の起用は、若いアジア系の消費者をターゲットにしたもので、特にソーシャルメディアを通じてコアなファンから話題が広がることを狙った戦略だという。「自分たちだけが分かる」と思わせるところが、ネット世代マーケティングのカギなのかも。

[2011年5月25日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランの港で大規模爆発、40人死亡・1200人負傷

ビジネス

中国工業部門利益、第1四半期は前年比+0.8% 増

ワールド

韓国大統領選、最大野党候補に李在明氏

ワールド

北朝鮮、ロシア派兵初めて認める 金氏「正義のために
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドローン攻撃」、逃げ惑う従業員たち...映像公開
  • 4
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 5
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中