最新記事

スマートフォン

アップル vs. グーグル最終戦争

ネットワーク品質の高いベライゾン版iPhoneがアメリカで登場したことで、グーグルのスマートフォン向けOSアンドロイドはいよいよ崖っぷち?

2011年2月21日(月)12時31分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

タイミングも重要 ベライゾン版のiPhoneは発売前から予約が殺到したが、一方で登場が遅すぎたとの声も Brian Snyder-Reuters

 アメリカでアップルとグーグルの「最終戦争」がついに始まった。アップルが、スマートフォンのiPhoneを米携帯大手ベライゾン・ワイヤレスを通じて発売すると発表したのだ(発売は2月10日)。これでグーグルのスマートフォン向けOSアンドロイドは、息の根を止められるのか。

 ベライゾンは、アンドロイドを成功させた立役者だ。この2年間、同社は盛んにアンドロイドを売り込んできた。米国内でiPhoneを独占的に提供する通信大手AT&Tに対抗するため、iPhoneと競合できる存在を必要としていたからだ。

 登場当初のアンドロイドは「iPhoneもどき」にすぎなかったが、つながりにくいことで悪名高いAT&T以外の通信会社を利用できるのは魅力だった。過去数年間、iPhoneユーザーから最も多く寄せられた質問は「いつベライゾンで使えるようになるのか」だったと、アップルのティム・クックCOO(最高執行責任者)は先週の発表の際に語っている。

 ベライゾン版iPhoneへの需要は極めて大きいはずだ。1年前に発売が発表されていたら、アンドロイドの命運は尽きたように見えただろう。

 だが、この1年間で事情は大きく変わった。アンドロイドの質は格段に向上し、アメリカでのユーザー数はiPhoneを追い越す勢いを見せている。

 特筆すべきは、アンドロイドならではの強みである「多様性」を維持していることだ。オープンソースのアンドロイドはサムスンやモトローラなど、さまざまなメーカーの端末に搭載され、機種も多彩。スライド式もキーボード付きモデルもあるし、画面のサイズもいろいろだ。対照的に、iPhoneは色も形もアップルが「これ」と決めたものしか選べない。

 筆者も以前は熱烈なiPhoneファンだったが、まともに通話ができないのには耐えられなかった。通話用にと、ベライゾンの回線が使える安価な携帯電話を購入した自分がバカらしくなり、アンドロイド搭載機を使い始めたところ、すっかりはまった。Gメールやグーグルマップも利用でき、今ではアンドロイドが生活に欠かせない。

アップルにつきまとう弱点

 ベライゾン版のiPhoneが登場しても、もはや興味はそそられない。アンドロイド転向組に言わせれば、タイミングが遅すぎる。「もうiPhoneを使う気はない」と、ニューヨークでベンチャーキャピタルを運営するフレッド・ウィルソンは話す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アルゼンチンがWHO脱退へ、「深い相違」と説明 米

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、1月52.8に低下 需要

ワールド

米郵政公社、中国小包の受け取り継続へ 一時停止から

ビジネス

米1月ADP民間雇用、18.3万人増 予想上回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 7
    【USAID】トランプ=マスクが援助を凍結した国々のリ…
  • 8
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 9
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 9
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中