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ネット検索勝者はグーグル、敗者は中国
検閲問題などをめぐる半年間の戦いは、グーグルの事実上の「完勝」で結着した
けんかの行方 当初はすごんで見せた中国政府だが、やはりグーグルなしでは生きられない? Jason Lee-Reuters
ついにグーグルが中国政府とのけんかに勝った。7月9日、同社は中国政府から事業免許の更新を認められたと発表した。グーグルを叩き出すと息巻いていた中国政府が強硬姿勢を一歩後退させた形だ。
中国政府とグーグルの間では今年に入って、検閲、人権、ウェブ上の情報の自由をめぐって対立が続いていた。
3月には、中国政府による検閲を避けるために、グーグルが自社の中国版サイトから香港版サイトへの自動転送を開始した。つまり中国版グーグルにアクセスすると、検閲のない香港版グーグルのサイトに自動的に転送されるようにしたのだ。たとえばチベット問題に関して、中国本土のネットユーザーが自由に情報に触れられるようにすることが狙いだった。
この措置に対して、中国政府は激しく反発。中国の国内で事業を行うための免許の更新をグーグルに認めない可能性もちらつかせていた。
7月に入って、グーグルは香港版サイトへの自動転送を中止。中国版サイト(サービスは停止中)に、香港版サイトへのリンクを張る形式に変更した。大した譲歩ではない。この程度の変更では、中国政府が態度を軟化させるとは考えにくかった。中国政府がグーグルに対し、検閲を受け入れるか撤退するかの二者択一を迫るのは、時間の問題に見えた。
実質的には「検閲なし」に
結局、折れたのは中国政府だった。デジタルビジネス関連の有力ニュースブログ「ペイドコンテント」によれば、中国政府とグーグルの間では、以下のような条件で話がまとまったという。
中国版グーグルのサイトはサービスを再開する。提供するのは、音楽と商品情報の検索サービスと翻訳サービスだけ(中国本土のネットユーザーが求めているのは大抵これらのサービスだ)。中国版グーグルでは、ウェブ検索はできない。
しかし、香港版サイトへのリンクは残す。つまり、中国本土のネットユーザーは誰でも、1回余分にマウスをクリックすれば、世界のニュースを検閲なしで読めるのである。
中国政府はグーグルを撤退させたくなかったのだろう。そこで両者が一緒に知恵を絞って、中国がメンツを保ちつつ、グーグルが検閲なしの情報提供を行える道を探し出したようだ。
このドラマに何らかの第2幕がない限り、あるいは香港版サイトの利用が想定外に少なくてグーグルの中国事業の採算が悪化しない限り、今回の戦いはグーグルの完勝と言っていいだろう。