- HOME
- コラム
- Instagramフォトグラファーズ
- ハリウッド映画的な女性キャラクターを作る、男性と勘…
ハリウッド映画的な女性キャラクターを作る、男性と勘違いされる女性写真家
From Lou Escobar @lou__escobar
<ただのファッション写真ではない。キャラクター・セッティングを用い、女性のセクシーさが誇張された印象的な写真を生み出すルー・エスコバル>
キャラクター・セッティング――創作物に登場するキャラクターの設定――は、小説や映画はもちろん、写真でも、とりわけファッション写真やパーソナルなファインアート写真では、かなり以前から行われてきた。
だがここ近年、さらに勢いがついている。今回取り上げる写真家もそんなトレンドをリードする1人だ。パリ在住、33歳になったばかりのルー・エスコバルである。
エスコバルの作品は、彼女独特のキャラクター・セッティングを生かし、それを作品に染み込ませ、印象的な映画の一場面のように昇華させている。通常「シネマティック」と呼ばれる手法だ。
アメリカのハードボイルド映画や青春路線もの、それらのモーテルやダイナーの場面に引き込まれたかのような感覚を覚える。実際、彼女自身、パリの郊外でアメリカの映画やテレビを見ながら育ち、その影響を受けたという。
キャラクター自身もハリウッド的かもしれない。ファッショナブルで官能的だが、女性目線よりも男性目線で作られたような感じがある(ハリウッドはこのことでしばしば批判されている)。女性のセクシーさが誇張され、時にはダーティーな感じを意図的にまとわせているのである。
そのため当初は、インスタグラムのプロフィールを見ただけの多くの人が、彼女のことを男性写真家だと勘違いしたらしい。以後、「女性」という冠を写真家の上に付けるようになった。とはいえ、作品の目的は、女性の性的魅力をアピールすることよりも、女性自身がよりパワフルになれることを願ってのことだ、という。
作品全体を通して、写真用語で「シグネチャー」と呼ばれる、彼女自身のオリジナル性も見事に確立されている。とりわけ、その色使いとモデルのスタイリングは見事だ。
スタイリングは、エスコバルによれば、彼女のルームメイトでありスタイリストであるアネ・ケボキアンの力に大きく負っている。常に撮影旅行を共にし、エスコバルのプロジェクトに合わせてスタイリングしてくれるらしい。
この筆者のコラム
未婚女性やバーニングマン......決して一線は越えない「普通の人」たち 2020.03.13
iPhoneで撮影、北欧の「瞬間」を切り取る20歳のストリートフォトグラファー 2020.02.13
「男が持つ邪悪性をドキュメントしてきた」現代を代表する戦争写真家クリストファー・モーリス 2020.01.16
「アカウントは2回消した、それでも飽きない」本職はビル管理人のフォトグラファーは言う 2019.12.16
トランプ政権誕生でワシントンへ「全てはこのための準備に過ぎなかったとさえ思う」 2019.11.23
世界的な写真家が「魔法的な構図の創作者」を超えた写真 2019.10.27
日本の路地を彷徨い、人生が変わった「不思議と迷わなかった」 2019.09.27