コラム

マイクロソフトを辞し、アフリカに帰って大学を作った男/Brought to the brink of(~の寸前まで追いやられる)

2016年02月10日(水)15時48分

【今週のTED Talk動画】How to educate leaders? Liberal arts - Patrick Awuah
https://www.ted.com/talks/patrick_awuah_on_educating_leaders

登壇者:パトリック・アウア

 パトリック・アウアはガーナ出身で、奨学金を得てアメリカの有名なリベラルアーツ・カレッジであるスワースモア・カレッジに留学した。アフリカで事実を暗記するだけの教育を受けてきた彼は、そこでクリティカルシンキング(批判的思考)のスキルを鍛えられたという。その後、マイクロソフトのアメリカ本社に就職したものの、アフリカで起きていた様々な問題を外から見ているうちに、自分がアメリカで学んだことを活かし、アフリカに戻ってアフリカのために何かをしなければならないと感じるようになった。

【参考記事】アイビーに比肩する名門のリベラルアーツ・カレッジがある

 何をするべきか? 彼は問題を分析するうちに、その根本的な原因はリーダーシップの欠如にあるのではないかと考えるようになった。そして、その課題を解決するために大学を設立し、そこでリベラルアーツ教育――すなわち、職業訓練のための教育ではなく、人の知的能力を育成する目的の一般教養的な学問――を提供し始めた。このTED Talkでは、そのような教育のメリットと重要性について語っている。彼の活動の舞台となるアフリカの現状は、先進国に住む私たちの日常からはあまりにも乖離しているように思えるかもしれないが、「考える」とはどういうことなのかについて、得られる教訓は多い。

キーフレーズ解説

Brought to the brink of
~の寸前まで追いやられた

(動画6:10より)

 この動画では、アウア氏がガーナの問題について語る際、国のリーダーたちが間違った意思決定をして、brought our economy to the brink of collapse(我が国の経済が崩壊の寸前まで追いやられた)と説明しています。この表現にあるbrinkの文字通りの意味は「崖っぷち」で、「~の手前」や「直前」というニュアンスを持っています。Broughtは「~に運んで来られた」という受け身形で、誰かの行動によってそうされた、という意味になります。その対象(=そうされたもの)は必ず「ネガティブな現象」、つまり「起こって欲しくないもの」であり、ポジティブな現象にはこの表現は使いません。

 典型的な使用例を紹介します:

●The poor management brought the company to the brink of bankruptcy.
(誤った経営により会社は倒産の寸前まで追いやられた)

●Man's actions have brought many species to the brink of extinction.
(人間の〔間違った〕行動により多くの動植物たちが絶滅の危機に追い込まれた)

●Problems in the Middle East may bring the world to the brink of World War III.
(中近東の問題により世界は第三次世界大戦の危機に追いやられるかもしれません)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ドイツ、ロシアの偽情報拡散に警告 23日の総選挙控

ワールド

トランプ氏、5月にモスクワ訪問せず ロシア・ウクラ

ビジネス

再送-AIが投資家の反応加速、政策伝達への影響不明

ビジネス

米2月総合PMI、1年5カ月ぶり低水準 トランプ政
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story