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中国「抗日戦勝記念式典」のねじれた正当性
中国とロシアの思惑は一致したが Sergei Karpukhin-REUTERS
それにしても、中国が主催してロシアが賛同する形で実施される9月3日の「抗日戦勝記念式典」は、その正統性が二重三重にねじれた結果、奇妙な行事になってきています。
まず9月3日に式典を行うということは、まがりなりにも9月2日の「ミズーリ号上での日本の降伏文書調印」が由来であって、第2次大戦の戦勝国として戦敗国である日本に対する「戦勝」を祝うという主旨のようです。
ですが、まず第2次大戦の中国戦線で日本を相手に戦ったのは中華民国であって、中華人民共和国ではありません。中華人民共和国は第2次大戦の交戦国ではないし、ミズーリ号上の降伏文書の署名当事国でもないのです。この点に関しては、中国も問題を感じているのか、直前になって抗日戦争で戦功のあった国民党軍兵士を顕彰すると言い出しています。
またロシア連邦共和国も同様です。降伏文書の署名国はソビエト社会主義共和国連邦であり、ロシア連邦共和国とは国のかたちとして異なります。
さらに言えば、第2次大戦というのは、ファシズム枢軸国に対して民主主義国が戦って勝利したというのが戦後世界の正統性の根拠となっています。では、どうしてソ連が連合国に入っているのかというと、当時の、特にアメリカのルーズベルト政権は、社会主義のソ連が(民主主義に制約を加えつつも結果平等を追求する理想を掲げていることで)、ファシズム全体主義と比較すれば「組める相手」と判断をしていたのです。
ですが、その後スターリンのソ連というのはナチスドイツと比較して、同等もしくはそれ以上に厳しく私権を制限した非人道的な閉鎖社会だったことが明らかになりました。またその後、民主化によってソ連が解体され、いったんは開かれた民主国家となったロシアですが、公選制の大統領制度を取りながら野党勢力に様々な弾圧がかかる中で純粋な民主政体とは言えなくなって来ています。
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