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三原議員「八紘一宇」発言は笑えない問題
3月16日の参議院予算委で、与党議員として内閣に対する質問を行った自民党の三原じゅん子議員は「八紘一宇」という大戦中のスローガンを肯定的な意味で使用したばかりか、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」という発言までしています。
すでにこのニュースには色々な論評がされていますが、念のため確認をしておきますと「八紘一宇」とは元来は日本書紀の中で、神武東征伝説に関連付けて「日本全国を1つに」というニュアンスで登場した言葉です。それが、戦時中にはいわゆる「大東亜共栄圏」という構想と結びつけられて「全世界をひとつの家のようにする」という意味に拡大されています。これでは日本軍の侵略のスローガンだとされても仕方がありません。
三原議員の発言ですが、話題としては大企業が「タックスヘイブン」、つまり租税回避地を使って「節税」をする問題を批判する文脈で飛び出したようです。「八紘一宇の理念の下に、税の仕組みを運用していくこと」を安倍総理が「世界に提案すべきだ」と語ったというのです。
この発言ですが、私はまったく笑えないものを感じました。発言した三原議員には、そんなに深い考えはないのかもしれませんが、幾層にもわたる政治的・歴史的経緯を踏まえる中で、この発言はしっかりと批判がされるべきと思います。
まずタイミングが最悪です。オバマ政権は、日韓関係が悪化したことで、日米韓台の軍事同盟が有名無実化し、アメリカの東アジアにおける紛争抑止戦略が根本から崩壊することを真剣におそれています。例えば、キャロライン・ケネディ大使への脅迫事件は、NBCなど一般のTVニュースでもトップ扱いになっていますし、ミシェル夫人の訪日も、この問題への取っ掛かりを探す意味合いがあると思います。
そのような中で、しかも戦後70周年の「追悼の年」に、与党議員から第2次世界大戦中に「大東亜共栄圏」拡大のスローガンに使用された言葉が抵抗感なく使われる、しかもそれが直ちに厳しい批判に晒されないというのは重大なことだと思います。
例えば、日米韓台の同盟の中で、価値観を共有していないのは日本ではないのかという批判に結びつけられる可能性があります。更には中国やロシアから見ても日本が「枢軸国のアイデンティティー」を捨てられずに孤立へ向かう兆候だとして、功利的に解釈されかねない、そのような危険性もあります。
この発言は「用語とその背景のイデオロギー」が問題であるだけではありません。
現在の日本経済は、アベノミクス「第3の矢」である構造改革、国際競争力の回復が急務です。例えば、この2年強の間に1ドル79円であった円相場は、120円まで下げることに成功しています。ですが、その一方で貿易収支は32カ月連続で赤字であり、通商取引に関して言えば「円安の方が辛い」状況に陥ってしまっています。
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