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プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
フロリダの悲劇で大問題に発展した「正当防衛法」とは?
2月にフロリダ州中部のサンフォードで発生した、住宅地の自警ボランティアによる黒人少年の射殺事件ですが、その後、このジョージ・ジマーマンという28歳の行為に関しては、全米を揺るがす論争に発展しています。
この問題ですが、白人が黒人を撃ってしまい、保守派は正当防衛を主張、一方でリベラルは有罪を要求するというような「典型的な」議論とは相当に異なっています。
問題を複雑にしているのは、2つの要素です。それは、ジマーマンという男性が白人でなくヒスパニックであること、もう1つはフロリダ州など南部に多い「正当防衛法(スタンド・オン・ユア・グラウンド・ロー)」が絡んでいるという点です。
やや大雑把な言い方になりますが、仮に今回の事件が「白人が撃った」ケースであれば、これほどの騒ぎにはならなかったと思われます。今回のような相当に一方的な射殺ということでもそうです。というのは、現在の大統領は黒人のオバマであり、しかも今年は彼が再選を狙う大統領選の年だからです。
仮に、民主党のリベラルが「これは黒人に対するヘイトクライムだ」という告発に燃え、全国的な問題にしたとします。そうすれば、白人の保守派は「そんな言いがかりが通るとしたら、それは黒人のオバマが大統領だからだ」と猛然と反発するでしょう。「チェンジの正体は白人敵視だった」というキャンペーンが盛り上がれば、もしかすると選挙戦の情勢が変わるかもしれません。
選挙戦への影響はともかく、そうなれば、国論を大きく2つに引き裂くことになるわけで、左右の両勢力ともに、そうした泥仕合は望むことはないと思われるのです。
ところが、今回の「加害者」はヒスパニックであり、白人ではないのです。そこで、全米のリベラル的な世論は「黒人被害者の正義」に乗っかることに余り抵抗がないということになります。では、ヒスパニックを叩いてしまうと、今は巨大となったヒスパニック票が逃げるではないか、というとどうもその懸念は薄いのです。
ヒスパニックの人達というのは、多くのグループに分かれている一方で、その世論を束ねるリーダーも不在なのです。また、前回の選挙ではオバマを支持したように、この国の人種問題というのは要するに白人の意識の問題だという理解が強いので、一気に共和党支持に動くとは思えないわけです。今年の候補はロムニーになりそうだということもあります。
もう1つは「正当防衛法」の問題です。トラブル回避の努力をしたとか、危険が迫ったことの客観的な証拠があるといった「認定要件」なしで撃ってしまっても大丈夫で、起訴どころか逮捕もされないという南部を中心とした地域独特の法律があるのですが、今回の初動ではこの法律が適用されていることが問題になっています。
リベラルの方としては、この「正当防衛法」そのものが問題だという動きになってきています。ということは銃社会イデオロギーに対する反対を堂々と展開できる一方で、国論を二分する銃規制そのものには踏み込まずに政治的な勝負ができるという格好です。
では、この問題には落としどころがあるのでしょうか?
私はあると思います。それは、このジマーマンという男性に、正当防衛法の適用をせず、殺人罪または傷害致死で起訴に持ってゆくという方法です。そうなれば、少年の犠牲に対してある種の名誉回復はできますし、保守派も「この事件は適用外だった」ということで正当防衛法そのものの合憲性論議は避けられるという、「両得」になるからです。
その場合は、このジマーマンという男性については、仕方がないと思いますが、ヒスパニックの人々にはスッキリしないものを残すのではと思います。また、黒人の若者の挙動がヒスパニックにはどう誤解されたのか、ヒスパニックの側の殺気をどうして黒人の若者が感じなかったのかという異文化コミュニケーションの問題も中立的な解明は望み薄とも思います。
何よりも、「そこに銃があったから」という銃そのものが問題だという論議については、アメリカ社会は今回も分裂を恐れてスルーすることになるでしょう。オバマが大統領であるがゆえのパラドックスと言っても良いかもしれません。
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