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冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
訃報の続くアメリカ芸能界
ここ1週間、アメリカの「エンタメ」ニュースでは、訃報ばかりが相次いでいます。世界的に有名なのは、6月25日に亡くなったマイケル・ジャクソンと、ファラ・フォーセットですが、その他にも、この2人の2日前には、60年代から80年代にかけてお笑いTV番組『トゥナイト』で司会のジョニー・カーソンの相方を務めていたエド・マクマホンが亡くなっています。
また、この3人ほど「ビッグ」な存在ではありませんが、28日の日曜日には洗剤のコマーシャルで商品を売り込む独特のキャラが有名だったビリー・メイズという異色タレントが急死しています。いくら裾野の広いアメリカの芸能界といえども、1週間に4人の訃報というのはちょっと異常です。
天寿を全うした感のあるのはマクマホンだけで、フォーセットはガンとの壮絶な闘病の末の62歳の死でした。ニュースとしてある程度世間的な覚悟ができていたのは、この2人の場合までで、ジャクソン急死の衝撃は週末を越えても続いていますし、メイズの場合も知名度のある人だけにショックはかなりのものがありました。死亡前夜に乗っていた飛行機の着陸の際に頭部を打ったのが死因ではないかと言われていますが、真相はまだ分かりません。
この4人は、ジャンルも芸風も全く重なる部分がないのですが、訃報が重なることの相乗効果はどうにも否定できません。特にビリー・メイズの場合は、知名度は完全にアメリカ国内だけとはいえ、TVで有名なキャラクターだけに日曜日の訃報には「えっ、メイズまで?」という驚きが全米に走りましたし、漠然とではありますが、この週末、アメリカでは人の人生、人の運命といったものに人々が思いを寄せる、そんなムードが出来上がってしまったようです。
ケーブル局のMSNBCでは、マイケル・ジャクソンの有名な2003年の独占インタビュー 「Living with Michael Jackson」を繰り返し繰り返し放映していました。父からの虐待の話、金銭感覚がマヒしている姿、そして容貌の変化をあくまで自然現象と言い張るシーンなど、当時は「奇行」として白眼視もされた「真実の姿」でしたが、本人がこの世にいなくなった現在では、ただただこの異常な天才の孤独が痛切に伝わって来るのです。私には何度か思わず顔を背けてしまう瞬間がありました。
同じMSNBCでは、ファラ・フォーセットの闘病記も放映されていました。本当に苦しく長いガンとの闘病だったのですが、亡くなる直前に、長年にわたる愛憎のパートナーであるライアン・オニールからの求婚を受諾し、そのまま逝ったというエピソード、そして闘病記の中でそのオニールが語っていた「ファラとの間には本当にビューティフルな人生の瞬間がありました」という一言は救いであり、悲報の中にも人生の滋味を感じさせるものでした。
この週末、アメリカは完全に喪中でした。それぞれの訃報が人々の思いを過去へと向かわせる中、かつては愛憎にまみれていた偶像のイメージが静かに人々の中で浄化されて行く、そんな静かな時間が流れています。逝去から丸3日が過ぎた現在、マイケル・ジャクソンのことをスキャンダラスな存在と言う人はいなくなりました。
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