コラム

ペダルの重さも気にならず、電池もいらない北欧デザイン自転車用ライト

2016年12月22日(木)11時50分

<電池交換不要で環境に優しく、不意の電池切れの心配もいらず、かつダイナモ式のようにペダルも重くならない自転車用ライトはできないか...。デンマークの企業が、この課題に正面から取り組んだ>

 最近の自転車用ライトは、電池やUSB充電によって点燈する仕組みのものが多い。電動アシスト自転車の場合には、走行用のバッテリーがライトの電源にもなっている。

 かつてはダイナモと呼ばれる小型発電機をタイヤのリム部分に当てて発電しながらライトを光らせるものが主流だったが、その分、フリクション(抵抗)が増してペダルが重くなるのが難点だった。タイヤを支えるハブ部分にダイナモを組み込んだハブダイナモ方式もあり、これはペダリングへの負担がほとんどないにもかかわらず、パーツのコストに加えて組み込み作業に手間がかかるため、どちらかといえば趣味性の強いアイテムとして捉えられている。

 実際にはダイナモのほうが電池交換不要で環境に優しく、不意の電池切れの心配もないのだが、多くの人々にとってペダルの重さは敬遠するに十分な理由と感じられたようだ。

 では、ダイナモからフリクションがなくなったらどうだろうか? この課題に正面から取り組み、優れた北欧デザインのライト、NEO(フロント用53.95ユーロ、リア用46.95ユーロ)を完成させたのが、デンマークのリーライト社である。(公式サイトには、まだ製品情報がないため、詳細はkickstarter<こちら>を参照されたい)

IMG_1501.JPG

 NEOは、アルミなどの金属板を強い磁場の中で動かした際に生じる渦電流の原理を応用し、自転車のアルミリムの隣接するように、しかし接触はさせずに取り付けることで機能する。また、信号待ちなどで停車した際には、走行中に蓄えた電力によって低輝度モードで光り、周囲の注意を喚起する仕組みだ。

 取り付けも、フロントやリアのフォーク部分に簡単に後付けでき、盗難防止のために細い六角レンチでないと回すことができないロック機構も備えている。

 発電メカニズムと並んでユニークなのは、発電メカの下にLEDの発光部を持つそのフォルムだ。この構造が、取り付けた後にもライト周りをスッキリとコンパクトに見せる効果を生んでいる。

 唯一、発電量を確保するためにアルミリムが必須な点が制約ではあるが、まさに温故知新的な発想が生み出したグッドデザインといえるだろう。

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは156円前半へ上昇、上値追いは限定

ビジネス

中国、25年の鉱工業生産を5.9%増と予想=国営テ

ワールド

中国、次期5カ年計画で銅・アルミナの生産能力抑制へ

ワールド

ミャンマー、総選挙第3段階は来年1月25日 国営メ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story