コラム

電球ソケットに差し込める常時利用型プロジェクター Beam

2016年07月21日(木)16時30分

<電球のソケットにそのまま差し込め、実際にLED照明としても利用可能な小型プロジェクター。中身はAndroidベースのスマートデバイスで、アプリをほとんどそのまま動かすことができる>

 かつてに比べれば、大画面テレビもかなり安価で買いやすくなっているが、可搬性と画面1インチあたりの価格でいえばプロジェクターにはかなわない。

 そのプロジェクターのトレンドは、大きく2つに分かれている。

 1つめは短焦点化。つまり、スクリーンなどの投影面との距離があまりとれないような場合でも、プロジェクションのサイズを大きくできるというもの。そして、2つめが小型化。ポケットプロジェクターというカテゴリーもあるように、小さいものはポケットやポシェットに入れて持ち運べるほどダウンサイズしてきた。

 小型プロジェクターの核となる技術は、ある程度標準化されており、開発元からライセンスを受けて自社デザインの筐体の中に収めれば、新興メーカーでも一定の画質を実現しながら、ユニークな製品を世に送り出すことができる。

 Beam(499ユーロ)も、そんな製品の1つだが、一般的な電源ケーブルの代わりに電球のソケットにそのままねじ込める口金を付け、実際にLED照明としても利用可能となっている。しかも、中身はAndroidベースのスマートデバイスであり、同プラットフォーム向けのアプリケーションをほとんどそのまま動かすことができるのだ(当然だが、カメラやGPSなど、Beamが備えていない機能を用いたアプリケーションには非対応となっている)。

1Beam.jpg

 この構造によってBeamは、たとえばダイニングテーブルの上から吊るして天気予報やニュースを表示させたり、スケジュールの確認などに使うことが可能だ。また、付属のソケット付きケーブルを使えば、床や机上に置いて、壁面への投影もできる。

3projection.jpg


 コントロールは、iPhoneやiPad、Androidのスマートフォン/タブレット上の専用アプリから行い、その画面上をなぞると投影されたポインタが動いて指示などを行える仕組みである。

 筆者は、個人的にBeamの投影の自由度を高めるために、イケアのアームライトと自身で3Dプリントしたアダプタパーツを組み合わせて、アームの先にBeamを取り付けて、向きや高さを調整しやすくしてみた。

4ootani.jpg

 ちょっとしたホームシアター気分を味わったり、簡単なプレゼンテーションを行う場合などにも、Beamは大いに役立つ存在だ。

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スウェーデン、バルト海の通信ケーブル破壊の疑いで捜

ワールド

トランプ減税抜きの予算決議案、米上院が未明に可決

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、2月50.2で変わらず 需要低

ビジネス

英企業、人件費増にらみ雇用削減加速 輸出受注1年ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 9
    ハマス奇襲以来でイスラエルの最も悲痛な日── 拉致さ…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 8
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 9
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story