ローソン不振の原因は経営者か親会社か
三菱商事出身の竹増貞信社長 Toru Hanai-REUTERS
<突然の退任会見からおよそ一カ月。今月末に玉塚会長が去った後でこそ、その仕事に真の評価が下される>
ローソンの玉塚元一会長が今月30日の株主総会をもって退任する。ユニクロを展開するファーストリテイリング社長などを経て同社トップに就任した玉塚氏は、いわゆるスター経営者の一人といってよいだろう。突然の退任に至った背景には、親会社である三菱商事との路線の違いがあるとも言われているが、ローソンにおける玉塚氏の業績はどう評価すべきなのだろうか。
コンビニの業績は本体の数字だけを見ても分からない
玉塚氏は4月12日、2017年2月期の決算発表を前に、同社会長からの退任を明らかにした。突然の発表に市場は驚いたが、業界をよく知る関係者の間では、玉塚氏の退任は時間の問題とされていた。その理由は、同社の大株主である三菱商事が、社長秘書をしていた竹増貞信氏をローソン副社長として送り込み、2016年9月には公開買い付け(TOB)実施を発表して、ローソンを子会社化したからである。
一連の人事と資本政策を見れば、竹増氏がローソンの副社長に就任した時点で、玉塚氏の退任も既定路線になったと考えるのが自然である。では、そうだと仮定して、三菱商事は玉塚氏のどこに不満があったのだろうか。
10年にわたってローソンを率いてきた新浪剛史氏の後継者として玉塚氏が社長に就任したのは2014年5月のことである。玉塚氏はトップに就任すると、高級スーパーである成城石井を買収するとともに、地域コンビニであるスリーエフやポプラと資本提携するなど、コンビニ首位であるセブン-イレブンを追撃する方策を矢継ぎ早に打ち出した。
ただ業績面では、直近の2017年2月期こそ増収増益を実現したものの、社長就任翌年から2年連続で減益になるなど、利益成長は不十分であった。
もっともローソンのようなコンビニ企業の場合、本体の数字だけを見ても経営の実態を把握することはできない。その理由は、コンビニはフランチャイズ(FC)制を採用しており、各店の業績と本体の業績が一致しないからである。
ローソンは2017年2月末時点で全国に1万2395店を展開しているが、このうちローソン本体が運営している直営店は200店舗ほどしかなく、残りはすべて独自のオーナーが存在するフランチャイズ加盟店である。ローソンの売上高のほとんどは加盟店からのロイヤリティで占められているため、ローソン本体が儲かっていても、店舗が儲かっているとは限らないのだ。
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