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イギリスで「勝ち組」と「負け組」が明らかになる日
政府の予算案に抗議する労働組合のメンバー Peter Nicholls-REUTERS
<イギリス政府の予算案が示される「バジェットデー」。税控除や公的支援の対象となる「勝ち組」に自分が入れるか、英国民は固唾をのんで見守る>
「バジェット(予算)デー」は、一般のイギリス人が強い関心を持って議会演説に耳を傾ける数少ない機会だ。年に一度、イギリスの国家予算が明らかにされるこの日、新聞各紙もウェブサイトで議会演説の様子をライブ中継するが、仕事中でない人はテレビでそれを見守る。演説が終わると、詳細が分析され、「勝ち組」と「負け組」が明らかになる。
ときには減税がトップの見出しを飾るときもある(特に選挙を間近に控えた時期など)。一方で、増税は大抵、人目につかないように密かに行われる(たとえば、インフレにもかかわらず非課税控除の上限は据え置きする、などの手法で)。前回、財務大臣は、自営業者を対象に国民保険の徴収額を増やそうとした。これには自営業者だけでなく、与党内からもメディアからも非難の声が上がり、結局撤回せざるをえなかった。
喫煙者は常に負け組で、タバコ税は少しずつ上がってきた。タバコは健康によくないので、喫煙者はほぼいつでも増税され続けていて、増税が道徳的だと思ってもらえるかなり珍しいケースになっている。それに比べて酒飲みはここ数年はまだましなほうで、ビール税はわずかな増税か据え置きですんでいる(それでも、他のヨーロッパ諸国に比べれば税率はずっと高い)。
今年、財務大臣はいわゆる「世代間の不公平」に何らかの対処をする予算措置を取るだろうと予想されていた。つまり、僕たちや僕たちより上の世代に比べて恵まれていない若者世代を助けるということだ。でも結局、たいした対策は取られなかったようだ。
目玉策として発表されたのは、初めて家を買う人を対象に、住宅価格が30万ポンド未満の場合は印紙税を免税される、というものだった。つまり理論上は、多ければ5000ポンドまで、住宅購入にかかる費用を節約できることになる。印紙税はローンに組み入れるものではなく、頭金と同時に購入時に払わなければいけないものだから、その意義は大きい。
でも見方を変えてみれば、イギリスでここ7年間に平均的な住宅の価格が5万ポンド以上も値上がりしていることを考えれば、5000ポンドの減税は焼け石に水だ。それに、この政策のせいで、初めて住宅を購入する人に対して、売り手側が値下げ交渉に応じてくれなくなる心配もある。
価格交渉をするのは当たり前のことだが、買う側が政府から数千ポンドの「値引き」をしてもらうとなると、売る側は値下げに乗り気でなくなってしまう。その結果、減税は買い手と売り手の間に溝を生み、税収は減り、既にとてつもなく高い住宅価格はさらに少し押し上げられるだろう。
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