韓国は「移民国家」に向かうのか?
トルコ出身のセルダル・アクジャダさんは韓国で15年働くが永住権はいまだ取得出来ていない SBS 뉴스 / YouTube
<日本同様、労働力不足が懸念される韓国、その特殊事情とは>
この記事は「外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国」の続編になります。
日韓の18歳はよく似ている?
先日、TBSラジオの「荻上チキ・ Session」で取り上げられていた日本財団の「18歳意識調査」が興味深かったので、元データをたどってみた。
日本、イギリス、米国、中国、韓国、インドの6カ国の中で、日本と韓国の若者の意識がよく似ているのは予想通りだったが、「あれ?」と思ったのは貧困問題への意識。ここでは中国も含めた日中韓の若者が他国の18歳とは対照的であり、特に韓国では貧困問題はあまり重要とは考えられていないようだ。
ただ、中国の場合、こういった調査に参加できる層は限定的だろう。番組に出演していた阿古智子教授が指摘したように、都市と農村の差もはげしいから、この結果が全体を代表するとは言いにくい。
韓国の場合、地域差は問題にならないが、「18歳」という年齢が特別すぎる。たとえばメディア関連の質問で、韓国には「新聞を毎日読む」と答えた人が多かったことが驚かれていたが、大学受験を前にした18歳なら当然だろう。試験問題や小論文の対策に新聞はとても重要であり、そのテーマは今の韓国でもっともホットなイシューといえる。
彼らが考える自国の最重要課題は、その1位が少子化、2位が高齢化、そして3位は経済成長である。日本の18歳もそこまではぴったり同じということで、日韓はここでもそっくりだ。
少子高齢化対策としての、外国人労働者移入政策
さて、前回の「外国人労働者問題」の続きだ。日韓両国で「少子高齢化」が最重要課題であり、「外国人労働者の移入政策」はそこにリンクする。
「移民政策を取り入れなければ、国家が消滅してしまう」――人口減少を補完するために、韓国政府は「移住労働者」を増やす方針のようだが、社会の受け入れ体制は十分ではない。日本に先駆けてシステムは整えたものの、国民の意識が追いつかない。それを象徴するのが、前回も取り上げた「ビニールハウスの宿舎」問題である。
農村で働く移住労働者の居住環境が劣悪な原因の一つは、韓国社会の差別意識にある。彼らを働く仲間とか、地域で共に暮らす隣人とは考えない。それは村全体の意識なのだろう。それでなければ、ご近所の手前、ビニールハウスに住まわせることなどできないと思う。
一方、工場労働者の場合は、また別の問題がある。釜山郊外でビニール加工工場を経営している友人は慢性的な労働者不足に悩んでいたが、雇用許可制によりインドネシア人の労働者を雇用することができた。彼はとても喜んで、さっそく近隣のマンションの部屋を借りて寮にしようとしたのだが、住民の激しい反対にあった。結局、マンションを諦めて、工場の一部を寝泊まりできるように改造したと言う。
「外国人が集団で暮らすようになると、マンションのイメージが悪くなって、不動産価格が下がってしまうと言われました。うちで買ってしまえばいいんですが、そこまでの資金はないので......」