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原発ゼロ電気は選べない──電力自由化の真実
電力自由化で、再エネ電気が選べたり、電気が安くなるとは限らない。4X-image - iStock
まもなく始まる小売り自由化
「原発の作った電気ではなく、再エネの電気を使いたい。電力を選びたい」
「日本の電気は高すぎる。これは電力ビジネスが地域独占であるせいだ」
この2つの主張が、福島第一原発事故の後、さまざまな立場の人によって語られた。そして、そうした期待を背景に、2016年4月から電力小売り全面自由化、2020年をめどにした電力会社の発送電分離が行われる。またガス、プロパンガスなども、規制緩和・自由化が進む予定だ。しかし、この2つの意見が、電力自由化によって解決するかは疑問だ。
再エネ電気が選べる「選択の自由」が広がるわけではない
世の中のさまざまな商品サービスでは「産地表示」が普通になりつつあるが、電力での産地表示は難しい。電気は一度作ったものを蓄電池がなければ貯めることができない。そのために、さまざまなエネルギー源で発電される電力を集め、混じり合う形にして、常に一定の質、量の電気を需要家に送る「同時同量」の配電を行う。再エネ電気だけを取り出したり、原発電気を取り除いたりできる仕組みではない。
「再エネを売る」という事業者のサービス内容を調べてみた。実際には既存の電力会社の送電網に接続し、その同時間に発電する再エネの電気を確保するというものだった。再エネは国の支援策で近年増加したと言っても、全発電量に占める割合は15年度で3%と少ない。再エネだけを供給するサービスを目玉とする事業者は現時点ではあまりない。その実施が困難だからであろう。
そして、消費者の関心の中心は電力価格になる。自由化の先行した欧州では、フランスの原子力発電が生き残り、ドイツや周辺国に電力を供給している。既存の原発がつくる電力は安くなるためだ。自由化で原発の発電が減るとは限らない。
自由化で、電気が安くなるわけではない
日本の電気料金は国際的に比べて高い。しかしこの理由は独占企業の価格つり上げというよりも、日本が96%のエネルギー源を輸入しているからであろう。全電力販売の6割を占める大口電力(産業用など)は1995年に、ほぼ自由化されている。それでも価格は安くはならなかった。
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