G7外相会合、ウクライナ支持で一致・対中硬化 米も「満足」

12─14日にカナダ・ケベック州で開催されている会合主要7カ国(G7)外相会談は、結束を示すことを目的とした共同声明で合意に達した。(2025年 ロイターSAUL LOEB/Pool via REUTERS)
John Irish Daphne Psaledakis
[ラ・マルベ(カナダ) 14日 ロイター] - カナダ東部ケベック州で12─14日に開催された主要7カ国(G7)外相会合は、意見の相違を乗り越えてウクライナの領土保全を支持する共同声明を採択した。米国も、少なくとも現時点ではG7同盟国と緊密に連携する姿勢を示した格好。ロシアに対し停戦を受け入れなければさらなる制裁を受ける可能性があると警告した。
ルビオ米国務長官は会談後、記者団に対し、米国は共同声明に満足していると表明。「意見の相違があるからといって、合意している事項について緊密に協力するのを妨げたりはしない。意見の相違はたくさんある。声明がそれを反映していること、そしてわれわれの行動がそれを反映していることを願う」と述べた。
声明は「ウクライナの領土保全と生存権、自由、主権、独立を守るための揺るぎない支持を再確認した」と述べている。
停戦を確実にするために安全保障を担保する(guarantee)ことが必要と言及していた以前の文言は「約束(assurance)」に置き換えられたが、ロシアに対し、ウクライナに続いて停戦に同意するか、原油価格の上限設定を含むさらなる制裁に直面するかのどちらかを選択するよう警告。「G7諸国はロシアに対し、対等な条件で停戦に合意し、それを完全に実施するよう求めた。いかなる停戦も尊重されなければならないと強調し、ウクライナが新たな侵略行為を抑止し防衛できるよう、強固で信頼できる安全保障体制の必要性を強調した」としている。
今回の会合では、ウクライナ・中東に関する文言や、中国に対するより厳しい表現を求める米国の意向などより、最終声明の作成は困難を極めていた。
カナダのメラニー・ジョリー外相は記者団に「われわれはウクライナや中東といったさまざまな問題に関し話し合う会合を開いてきたが、その目的はG7の強い結束を維持することだった」と述べた。
欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表は「領土保全は共同声明の重要な要素だ」とした上で、「国連憲章に沿った包括的、公正かつ永続的な平和」を求める呼びかけに言及した。
米政府は、ロシアとの交渉に支障をきたさないようウクライナ情勢に関する文言に一線を画すことを目指し、制裁を逃れるロシアの不透明な海運網(いわゆる「影の船団」)を抑制する声明にも反対してきた。また中国についてはより厳しい文言を要求していた。
最終的にG7は、カナダが推進していた影の艦隊に対処するためのタスクフォースを含む、海上安全保障に関する別の声明も承認した。
<対中姿勢は強硬に>
また声明では、G7は力や威圧によって台湾海峡の現状を変えようとするいかなる一方的な試みにも反対すると述べ、「一つの中国」政策を始めとする一部の融和的な言及を削除するなど、中国に対する姿勢が硬化した。
11月のG7外相声明と比較すると、今回の声明は中国の核兵器増強に対する懸念を追加。「中国との建設的で安定した関係」への希望を強調し「相違点を管理するために直接かつ率直に関与することの重要性」を認識することへの言及はなかった。
さらに、11月時点で表明された「G7の台湾に対する基本的な立場に『一つの中国』政策を含めて変化はない」という保証や、G7が「分離したり内向きになったりはしていない」こと、世界貿易における中国の重要性を認識していると表明する内容も削除された。
<中東問題の二国家解決は触れず>
声明ではイスラエル・パレスチナ紛争の二国家解決については触れられていない。従来の草案でその重要性を強調していた文言は削除された。「パレスチナ自治区ガザへの人道支援の再開と恒久的な停戦への支持を再確認したほか、イスラエル・パレスチナ紛争の交渉による解決を通じて、双方の正当なニーズと希望を満たし、中東の包括的な平和、安定、繁栄を促進する、パレスチナの人々にとっての政治的展望の必要性を強調した」としている。