トランプ氏暗殺未遂容疑者、同氏に批判的な投稿か ウクライナ支持
米南部フロリダ州のゴルフ場で15日、大統領選の共和党候補トランプ前大統領を銃撃しようとしたとして男が拘束された。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙とFOXニュース、CNNは警察当局者の話として、容疑者はハワイ州在住のライアン・ウェズリー・ラウス(写真)と特定した。SNSから入手した自撮り写真(2024年 ロイター)
Gram Slattery David Lawder
[16日 ロイター] - 米南部フロリダ州のゴルフ場で15日、大統領選の共和党候補トランプ前大統領を銃撃しようとしたとして男が拘束された。動機などは不明だが、過去の発言からロシアによる侵攻を受けるウクライナを強く支持し、トランプ氏を民主主義への脅威とみていたことがうかがえる。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙とFOXニュース、CNNは警察当局者の話として、容疑者はハワイ州在住のライアン・ウェズリー・ラウス(58)と特定した。
警察当局者によると、ラウス容疑者はゴルフ場付近の茂みにいたところをシークレットサービス(大統領警護隊銃撃犯)が発見し、発砲した。容疑者はAK─47型ライフルなどをその場に置いて車で逃走した後、逮捕された。
<熱心なウクライナ支持者>
ラウス容疑者はウクライナの熱心な支持者で、2022年のロシアの侵攻後にウクライナに入った。年齢を理由に義勇兵になることができなかったため、義勇兵の募集業務を手伝うことを目指したとジャーナリストに語っている。
22年6月にニューズウィーク・ルーマニアが掲載したビデオインタビューでは「他の多くの紛争はグレーだが、この紛争は間違いなく白か黒だ。これは善と悪の問題だ」と述べ「もし政府が正式な軍隊を派遣しないのであれば、私たち民間人がその役割を引き継がなければならない」と主張していた。
ウクライナの外国人義勇兵の組織は、ラウス容疑者とは何の関係もないとロイターに述べた。
Ⅹとフェイスブック(FB)、リンクトインでもウクライナを支持する投稿をしていた。ロイターはアカウントが容疑者のものかは確認できていない。当局はコメントを控え、FBとX上のプロファイルへのアクセスは事件の数時間後に削除された。
<大統領選控え民主主義を懸念>
Ⅹ、FB、リンクトインでは、トランプ氏を米国民主主義への脅威と評する発言もあった。
20年のXへの投稿では、大統領選の民主党候補指名を争っていたサンダース上院議員を支持し、バイデン氏を「寝ぼけたジョー」とやゆしていた。しかし今年、「@POTUS(バイデン大統領)、あなたの選挙運動は『KADAF(Keep America democratic and free=米国を民主的で自由に保とう)』のようなスローガンにすべきだ。アメリカを民主的で自由な国にしよう。トランプは『MASA(make Americans slaves again=米国人を再び奴隷にする)』主人」と呼ぶべきだ」とXに投稿。「選挙では民主主義が問われている、負けるわけにはいかない」と書き込んだ。
ラウス容疑者の息子はロイターの電話取材に対し「何も知らない」と答え、父親がこのようなことをするとは思えないと語った。
シークレットサービスと国土安全保障省は15日夜、ノースカロライナ州グリーンズボロで容疑者が以前に住んでいた住宅を捜索した。