ニュース速報

ワールド

沖縄で抗議集会、米軍基地への反対訴える

2016年06月19日(日)19時56分

 6月19日、沖縄県那覇市で、米軍属による日本人女性殺害事件に対する抗議集会が開かれた。写真は普天間基地(宜野湾市)。2010年5月撮影(2016年 ロイター/Issei Kato/File Photo)

[那覇市 19日 ロイター] - 沖縄県那覇市で19日、米軍属による日本人女性殺害事件に対する抗議集会が開かれた。米軍基地に反対するデモとしては、ここ20年間で最大規模。米軍基地をめぐって対立する日米政府と沖縄県の関係をさらに悪化させ、米軍普天間基地の移設問題に影を落とす可能性がある。

主催者によると、参加者は6万5000人。1995年に発生した米兵3人による少女暴行事件に抗議するため8万5000人(主催者発表)が参加した集会以来の規模となった。

参加者の1人、ツハコ・シゲノリ(70)さんには、軍属に殺害された島袋里奈さんと同じ20歳の孫がいる。「沖縄は日本の一部。小指を痛めたときも、全身の痛さをもって沖縄の痛みを感じてほしい」と安倍晋三首相に注文した。

少女暴行事件の翌1996年、日米政府は普天間基地を日本に返還することで合意。しかし、名護市辺野古沖への基地移設計画は、地元住民などの反対などで進んでいない。

6月初めの県議会選挙では、普天間基地の県内移設に反対する翁長雄志知事を支持する勢力が勝利した。「怒りは限界に達した」と書かれたプラカードが掲げられる中、抗議集会に出席した翁長知事は、米海兵隊の撤退を訴えた。

戦後も1972年まで米の統治が続いた沖縄は、本島の面積の5分の1を米軍基地が占める。県内に居住する米国人は5万人、うち3万人は米兵と基地で働く民間人だ。

沖縄に駐留する米海兵隊のトップ、ニコルソン中将はデモ前日の18日にロイターの取材に応じ、沖縄本島の北部訓練場7800ヘクタールのうち、4000ヘクタールを来年初めに日本へ返還する用意があると述べた。

一方、東シナ海における中国の動きを封じ込めたい日米政府にとって、沖縄本島を含む南西諸島は戦略的重要性が増している。自衛隊は戦力を北から南に移し、監視レーダーやミサイルを南西諸島に配備しようとしている。

女性殺害事件で5月下旬に米軍属が逮捕されると、米軍は沖縄県民の怒りを鎮めるため、1カ月間の「哀悼期間」を設け、基地外での飲酒を禁じた。しかし、直後に米海軍兵が飲酒運転による交通事故を起こし、県民の反発は一段と強まった。

「米軍基地はすべて日本から撤退してもらいたい」と、集会に参加した公務員のシマブクロ・リョウコ(28)さんは語る。「(安倍首相には)みんなの声をしっかり聞き、政治につなげてほしい」。

(ティム・ケリー、笠井哲平 翻訳:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米関税に「断固たる対抗措置」、中国国営TVが短文サ

ビジネス

米2月PCE価格+2.5%、予想と一致 スタグフレ

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

ウクライナ、過去の米軍事支援を「ローン」と見なさず
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中