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商品安でも上昇基調の豪ドル、豪中銀への利下げ圧力に
[シドニー 4日 ロイター] - 商品(コモディティ)相場が下落しても豪ドルは驚くべき底堅さを見せているが、資源輸出が中心の同国経済にとって豪ドル高は潜在的な足かせとなるため、オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)が利下げ再開を余儀なくされる可能性がある。
今週発表されたデータによると、輸出増がほぼ独力で第3・四半期の国内総生産(GDP)の伸びを支える形となった。この期間に豪ドル<=AUD>が6.1%下落したことが大きく寄与した。
ところがそれ以降、豪ドルの貿易加重ベースの実効相場は5.0%高と急反発している。同国最大の輸出鉱物資源である鉄鉱石<.IO62-CNI=SI>が10年ぶりの安値を探る展開になっているにもかかわらずだ。そう考えると、輸出がGDPを押し上げる構図が、第4・四半期に再現されることはなさそうだ。
今のところ、RBAは豪ドルの上昇に反応する様子がない。今週開いた理事会では利下げを見送り、豪ドルをもう一段押し下げようとする発言もなかった。次回理事会は来年2月に開かれる。
RBAは今年5月に政策金利を過去最低の2.0%に引き下げてから、静観を決め込んでいる。ただ、豪ドルが今後も高止まりすれば、RBAの行動を求める圧力は高まるだろう。
RBCキャピタル・マーケッツのマイケル・ターナー氏は「交易条件が悪化していることもあり、為替相場は今の水準でもRBAの頭痛の種に浮上する可能性がある」と指摘。「我々は2016年に50ベーシスポイント(bp)の追加利下げを予想しており、豪ドル相場は16年末時点で1豪ドル=0.65米ドルまで下落するとみている」と述べた。
豪ドルは対米ドルでは
1豪ドル=0.7米ドルを上回る水準にとどまる理由は様々あるが、海外勢のキャリートレードが主な原動力となっている。超低金利のユーロなどで資金を借り入れ、高金利の豪ドルを購入する取引だ。
この4週間に、オーストラリアの2年物国債とユーロ国債の利回りスプレッドは約50bp拡大し、248bpとなった。欧州中央銀行(ECB)の追加緩和への失望感からスプレッドはやや縮小したものの、まだ235bpという魅力的な水準だ。
加えて、米連邦準備理事会(FRB)がきわめて緩やかなペースながら利上げに乗り出せば、米ドルへの重しとなる可能性がある。
豪ドルが軟調なコモディティ相場と歩調を合わせるためには、結局はRBAが有効な手を打って力添えする必要があるだろう。