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アングル:G20議長国トルコ、内政混乱で影響力発揮できず
9月1日、トルコは今年G20議長国を務めるにあたって新興国代表として発言力を高めようとの野望を抱いていたが、そうした役割は望むべくもなくなったようだ。写真は首都アンカラで8月30日、トルコ国旗と同国空軍のアクロバット飛行チームのパフォーマンス(2015年 ロイター/Umit Bektas)
[アンカラ 1日 ロイター] - トルコは今年、20カ国・地域(G20)の議長国を務めるにあたって新興国代表として世界の低成長問題への対応策を取りまとめ、新興諸国の発言力を高めようとの野望を抱いていた。
しかしその後トルコ国内で問題が山積したため、そうした役割は望むべくもなくなったようだ。
6月の総選挙で与党・公正発展党(AKP)が過去10年強で初めて単独過半数を失ったのに続き、クルド人の多い南東地域で紛争が再燃して3年に及ぶクルド和平交渉は崩壊の危機に瀕した。
7月にはシリアとの国境近くで過激派組織「イスラム国」が背後にいると見られる自爆テロが発生し、トルコは米軍主導の有志国連合による空爆に加わった。
トルコの経済成長率は減速し、通貨リラは過去最低水準に下落。企業幹部や投資家は既に、2015年はトルコ経済にとって「失われた年」だと呼ぶ有様で、G20をめぐる野望は脇に追いやられてしまった。
ロンドンのリスクコンサルタント会社ストロズ・フリードバーグのトルコアナリスト、ジョナサン・フリードマン氏は「G20議長国の立場を利用して明確な目的を達成しようと目論む余裕はなくなった」と指摘。「トルコのソフトパワーは過去2年間で急速に衰えた。トルコは数年前なら得られたであろうG20における信頼感を、もはや失ってしまった」と話した。
4、5日にトルコの首都アンカラで開くG20財務相・中央銀行総裁会議では、中国経済やギリシャ金融危機への懸念が優先議題となりそうだ。
世界経済の状況が悪化する中で、トルコが決定的な役割を果たすことは考えにくい。特に先週、組閣に失敗した与党が新たな総選挙に向け選挙管理内閣を発足させ、国際的な評価の高いババジャン前副首相が外れたことで、情勢はさらに悪化した。
<国際協調は無理か>
ノムラのクレジットストラテジスト、ティモシー・アッシュ氏は週末のG20財務相・中央銀行総裁会議について、「これまでならムードを好転させるためにある種の国際協調戦略を模索しただろうが、今回は疑問だ」と言う。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げ、中国の根深い問題、多くの新興諸国が抱える個別の問題は、G20の制御が及ばないとアッシュ氏は指摘。「現時点でトルコに何ができるのか疑問だ。政権がろくに機能していないのだから」と語った。
コラムニストのジラ・ベンメイヤー氏はヒュリエト紙で、ババジャン氏が政権を外れたことで、国際的な金融界・政界で信頼される人物がいなくなったと記した。
「残念なことに、トルコは宣伝の重要な機会を逃してしまった。国際的なメディアの関心は政権の危機、テロ事件、難民危機といった問題に集中している」とベンメイヤー氏は語った。
(David Dolan and Dasha Afanasieva記者)