ニュース速報
ビジネス

NY市場サマリー(11日)株反発、ドル下落 10年債利回り大幅上昇 

2025年04月12日(土)06時24分

<為替> ドルが主要通貨に対し下落し、スイスフランに対しては10年ぶり、ユーロに対しても3年ぶりの安値を付けた。米中による関税の応酬を背景に、安全資産としてのドルに対する信頼が揺らいでいる。

中国は11日、米国からの輸入品への関税を84%から125%に引き上げると発表した。12日から適用する。トランプ大統領が中国への関税を145%としたことに対抗するもので、貿易戦争のリスクが高まっている。

米ミシガン大学が発表した4月の消費者信頼感指数(速報値)は、貿易摩擦激化への不安を背景に、2022年6月以来の水準に低下した。1年先の期待インフレ率は6.7%に急上昇し、1981年以来の高水準に達した

終盤の取引で、ドル/スイスフランは0.9%安の0.81650フラン。10日に記録した15年1月以来の安値から一段安となった。週間の下げとしては、22年11月以来の高さとなる見通し。

ドル/円は昨年9月以来の安値を付けた後、0.51%安の144.05円で推移した。週間では2月初旬以来の大幅な下げとなる勢い。

主要通貨に対するドル指数は0.56%安の99.958と、22年4月以来の安値を記録した。

ユーロ/ドルは一時22年2月以来の高値を付けた後、1.25%高の1.134050ドル。週足では3月初旬以来の大幅な上昇となる見込み。

ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は、世界的な混乱にもかかわらずユーロ圏金融市場は機能しているとし、必要に応じて金融安定維持へ金融手段を展開する用意があるとの見解を示した。

ユーロはオフショア人民元に対しても急伸し、11年ぶりの高値を記録した。

一方、ドルはオフショア人民元に対し0.45%安の1ドル=7.2807元。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 10年国債利回りが週間では過去20年余りで最大の上昇幅を記録する見通しとなった。トランプ大統領の二転三転する関税政策は、世界的な市場混乱と売り圧力を招いている。

アナリストらによると、ヘッジファンドやその他の資産運用会社は今週、マージンコール(証拠金請求)やボラティリティーを受けた損失のために債券を売却したとみられる。

外国人投資家による債券売りが進んでいるとのうわさも市場の懸念を高めている。

指標となる10年国債利回りは8.6bp上昇の4.478%。一時、2月13日以来の高水準となる4.592%を付けた。週間では2001年以来の上昇幅となる見込み。

30年債利回りは0.8bp上昇の4.856%。週間では1987年以来最大の上昇幅となる見通しとなった。

2年債利回りは10bp上昇の3.947%。週間では昨年9月以来の上昇率となる見込み。

関税措置により経済が減速すれば、連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げする可能性があるとの見方が強いことから、短期債利回りは長期債に比べて比較的低い水準で推移している。

2年債と10年債の利回り格差は52bpと3bp縮小した。 

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 反発して取引を終えた。米銀大手の四半期決算が好調だったことに加え、ボストン地区連銀のコリンズ総裁が連邦準備理事会(FRB)は金融市場の機能を維持する準備があると表明したことで安心感が広がり、トランプ米大統領の大規模関税措置で乱高下した波乱の1週間を上昇で締めくくった。

主要3指数はそろって大きく上昇。ダウ工業株30種は619ドル高で終了した。週間の上昇率はS&P総合500種とダウ工業株30種が2023年11月以来、ナスダック総合が22年11月以来の大きさとなった。

この日に発表されたJPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴの四半期決算はいずれも好調。

米経済指標では、労働省発表の3月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)が前月比0.4%下落。ガソリン価格の急落が影響し、2023年10月以来、約1年半ぶりに下落した。

この日はSP500の主要11セクター全てがプラス圏で終了。特に素材とハイテクが大きく上げた。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.47対1の比率で上回った。ナスダックでも2.01対1の比率で値上がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は191億9000万株。直近20営業日の平均は187億4000万株。 

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、安全資産としての金買いが活発化し、4日続伸した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比67.10ドル(2.11%)高の1オンス=3244.60ドルと、中心限月の清算値ベースで前日に続き、史上最高値を更新した。週間では6.90%高となった。 

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米関税政策を巡る不確実性を嫌気した売りが一服し、反発した。米国産標準油種 WTIの中心限月5月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.43ドル(2.38%)高の1バレル=61.50ドル。週間では0.79%下落した。6月物は1.27ドル高の60.90ドルだった。 

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 143.51/143.54

始値 142.99

高値 144.2

安値 142.23

ユーロ/ドル NY終値 1.1360/1.1361

始値 1.1336

高値 1.1412

安値 1.1278

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 96*01.50 4.8774%

前営業日終値 96*16.00 4.8480%

10年債(指標銘柄) 17時05分 101*00.00 4.4974%

前営業日終値 101*27.00 4.3920%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*08.00 4.1686%

前営業日終値 99*26.75 4.0370%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*26.00 3.9746%

前営業日終値 100*01.63 3.8470%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 40212.71 +619.05 +1.56

前営業日終値 39593.66

ナスダック総合 16724.46 +337.15 +2.06

前営業日終値 16387.31

S&P総合500種 5363.36 +95.31 +1.81

前営業日終値 5268.05

COMEX金 6月限 3244.6 +67.1

前営業日終値 3177.5

COMEX銀 5月限 3191.0 +115.1

前営業日終値 3075.9

北海ブレント 6月限 64.76 +1.43

前営業日終値 63.33

米WTI先物 5月限 61.50 +1.43

前営業日終値 60.07

CRB商品指数 290.4214 +5.2867

前営業日終値 285.1347

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ドルは上昇へ、債券市場の小さな問題は解決=トランプ

ビジネス

トランプ氏、スマホ・PCなど電子機器の関税を免除 

ワールド

アングル:中国にも「働き方改革」の兆し、長時間労働

ワールド

グリーンランドに「フリーダムシティ」構想、米ハイテ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    車にひかれ怯えていた保護犬が、ついに心を開いた瞬間...胸に顔をうずめた姿に世界が涙
  • 3
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助けを求める目」とその結末
  • 4
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 7
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    娘の「眼球が踊ってる」と撮影、目の「異変」は癌が…
  • 10
    ひとりでさまよっていた老犬...盲目で耳も聞こえず、…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助…
  • 5
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 6
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 9
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 10
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中