ニュース速報
ビジネス

政策金利の引き下げ余地確保を提言=国際決済銀

2024年09月17日(火)02時14分

国際決済銀行(BIS)は主要中央銀行に対し、ここ数年での金利引き上げで整えた政策金利の積み上げを急速な縮小により浪費せず、一定の引き下げ余地を確保しておくよう提言した。2021年、バーゼルで撮影(2024年 ロイター/Arnd Wiegmann)

[ロンドン 16日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は16日、主要中央銀行に対し、ここ数年での金利引き上げで整えた政策金利の積み上げを急速な縮小により浪費せず、一定の引き下げ余地を確保しておくよう提言した。四半期報告書で述べた。

BISの金融・経済部門の責任者、クラウディオ・ボリオ氏は記者団に、予想される景気減速と予期せぬ将来の危機のいずれにも対処できるよう、全ての中銀に対してある程度の金利の引き下げ余地を持っておく必要があると強調した。

ボリオ氏は「予想されるのは景気後退だ。新型コロナウイルス禍のように予期しないショックもある。(利下げの)ペースやどこまで踏み込むかを決定する際のもう一つの考慮事項になる」と指摘した。米連邦準備理事会(FRB)は今週利下げサイクルに入るとみられており、市場には利下げ幅が0.25%になるか0.5%になるかに関心が集まっている。

報告では、8月に起きた米大型ハイテク株と、それに伴う世界的な株価の急落、日銀が利上げに踏み切った後の円キャリートレードの巻き戻しの動きに関しても分析した。円キャリートレードは低い金利で円を借り入れ、より高い利回りが見込まれる他の通貨や資産に投資するもので、数十年にわたって市場を下支えしてきた。

キャリートレードの巻き戻しによってどの程度市場の不安定化につながるかについては、現時点では十分な情報がない。BISの調査部門を率いるシン・ヒョンソン氏は「取引の方向性に関する有益なデータを入手し、その取引の経済的目的を把握することに取り組まなければならない」と言及した。

BISはこのほか、プライベートエクイティ(PE)が提供するオフショア再保険(保険会社向け保険)を生命保険会社が使用されることによる金融安定性への懸念も指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル143円前半に上昇、過度な米利下げ期待の剥落で

ビジネス

日経平均は3万7000円回復、FOMC後の円安支援

ワールド

トランプ氏、ゼレンスキー氏との面会示唆 国連会合で

ワールド

イランのハッカー集団、米大統領選干渉狙いバイデン氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエルのハイテク攻撃か
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 5
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 6
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 7
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 10
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中