ニュース速報
ビジネス

米国のインフレ緩和、労働市場は再均衡化=FRB金融政策報告書

2024年07月06日(土)04時14分

米連邦準備理事会(FRB)は5日、議会に半期ごとに提出する金融政策報告書を公表した。2022年6月撮影(2024年 ロイター/Sarah Silbiger)

Howard Schneider

[5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は5日、議会に半期ごとに提出する金融政策報告書を公表した。物価情勢についてインフレは緩和したとしたほか、労働市場は「引き締まっているが過熱していない」という新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)前の状況を回復したとし、米経済は一段と正常な状況に着実に戻りつつあるとの認識を示した。

FRBは報告書で「インフレは昨年に著しく緩和し、今年に入ってからも緩やかな改善がみられた」と言及。住宅サービス部門については、価格上昇のペースがパンデミック前の水準に戻るのは時間の問題との認識を示した。

労働市場については「今年上半期を通して再均衡化が続いた」とし、「多くの分野で求人が減少したことで労働需要が緩和した一方、移民の急増を背景に労働供給は増加し続けている」と指摘。「労働の需要と供給のバランスは、労働市場が比較的逼迫していたものの過熱はしていなかったパンデミック直前の時期に似ている。名目賃金の伸びは引き続き鈍化した」とした。 

パウエルFRB議長はこの報告書に基づき、9─10日に議会証言を行う。

<金融政策の独立性>

足元でトランプ前大統領が再選する可能性が高まっているとの見方を反映してか、報告書には「特別トピック」の1つとして「金融政策の独立性、透明性、説明責任」と題する短い論説が含まれた。トランプ氏が再選すれば、パウエル議長は2026年の任期満了前に退任に追い込まれる可能性がある。

論説では、FRBは何よりもまず議会に対して説明責任を負う一方、議会はFRBに政策金利の決定に関する「運営上の独立性」を与え、その決定が「短期的な政治的影響から隔離される」ようにする旨が示された。

さらに「長期的に雇用の最大化と物価安定をもたらす金融政策措置には、短期的な経済的コストを伴う抑制策が含まれる可能性がある一方で、生産と雇用を持続不可能なレベルまで引き上げる措置は長期的には実質的な利益がなく、インフレ率の上昇につながる可能性があることは広く理解されている」とし、中銀の独立性は確立された「国際基準」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-ハンガリー首相、ウクライナ戦争の調停者になれ

ワールド

イスラエル首相支持へ、連立政権から極右離脱なら=最

ワールド

英のリーブス新財務相、経済成長実現に意欲 「無駄に

ワールド

フランスの宙づり議会、政策立案複雑に 格下げ招く恐
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50
特集:まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50
2024年7月16日/2024年7月23日号(7/ 9発売)

日本の報道が伝えない世界の仰天事実。世界の今が見えるニュースクイズ50

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 2
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間
  • 3
    ドネツク州でロシア戦闘車列への大規模攻撃...対戦車砲とドローンの「精密爆撃」で次々に「撃破」する瞬間
  • 4
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった.…
  • 5
    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…
  • 6
    日本人学校バス襲撃 死亡した中国人女性を「美談」…
  • 7
    「こうした映像は史上初」 火炎放射器を搭載したウク…
  • 8
    夜の海に燃え上がるロシア大型揚陸艦...ウクライナ無…
  • 9
    スタートアップ経営者が感じる「退職代行」のやるせ…
  • 10
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 1
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 2
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 3
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカードの「基本概念」を根本的にひっくり返す悪手だ
  • 4
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった.…
  • 5
    黒海艦隊撃破の拠点になったズミイヌイ島(スネーク…
  • 6
    H3ロケット3号機打ち上げ成功、「だいち4号」にかか…
  • 7
    キャサリン妃も着用したティアラをソフィー妃も...「…
  • 8
    ドネツク州でロシア戦闘車列への大規模攻撃...対戦車…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」…
  • 5
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 6
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 7
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 8
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 9
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 10
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中