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英中銀金融政策委員、インフレ・失業巡る見解に相違

2017年11月22日(水)01時24分

11月21日、英中銀今月、2007年以来初めての利上げを決定したが、金融政策委員の間でインフレや失業などを巡る見解が分かれていることが明らかになった。写真は2016年11月、ロンドンの英中銀(ロイター 2017年/Peter Nicholls)

[ロンドン 21日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は今月、2007年以来初めての利上げを決定したものの、金融政策委員の間でインフレや失業などを巡る見解が分かれていることが21日、明らかになった。

英中銀は2日の金融政策委員会で政策金利を0.25%から0.50%に引き上げることを7対2で決定。カンリフ副総裁とラムスデン副総裁が賃金の伸びは低く現時点で利上げを正当化できないとして、据え置きを主張した。

利上げから約3週間が経過した21日、金融政策委員9人のうち4人が相次いで発言。

ブリハ委員は議会委員会で、企業の人材採用が難しくなっていること、さらに労働者の間で高賃金を求めて転職することに対する信頼感が増していることなどを踏まえ、同会合で利上げ支持に転じたと表明した。

不完全雇用を推し量る指標は低下しているとし、「まだ黎明期にあるが、この低下プロセスが始まっていることを示す証拠はあると考えている」と指摘。「(利上げの)決定を支持するすべての兆候が揃うまで待てば、ほとんどの場合、後手に回ることになる」と述べた。

ソーンダース委員は失業率について、インフレを押し上げ始めるまでは緩やかにしか低下しないとし、「均衡失業率がわれわれが推定する4.5%を若干下回っている可能性は大いにあり得ると考えている」と述べた。

一方、2日の会合で利上げに反対票を投じたカンリフ副総裁は、金融政策委員会の経済に対する見解の「全般的な枠組み」に賛同するとしながらも、国内インフレ圧力の低迷のほか、英ポンド相場の下落が賃金の伸びにつながる兆候が出ていないことなどを挙げ、「こうしたことは 賃金の伸びが失業率の水準に反応しているとの明確な証拠が得られるまで、政策引き締めを待てることを示している」と述べた。

ブリハ委員とカンリフ副総裁はこのほか、中銀は英国の欧州連合(EU)離脱に関するいかなる結論も急がないとし、2019年に円滑に離脱するとの中銀の予想を堅持するとの立場を示した。

ソーンダース委員はまた、無担保の消費者借り入れと個人破産が急速に増加していることは「若干の懸念」事項となっていると指摘。ただ中銀は2008年の金融危機の再来を防ぐ措置をとっているとした。

このほかマカファーティー委員は、過去の景気サイクルではこの時点では企業投資は2ケタ台の伸びを示すと考えられるが、現時点で4─5%となっていることは先行き不透明感が高いことを反映していると述べた。

ロイター
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