ニュース速報
ビジネス
ECB、ユーロ高が「不透明要因」と指摘 決定10月に持ち越し
9月7日、欧州中央銀行のドラギ総裁は、緩和策縮小をどのように進めるか検討するにあたりユーロ相場が主要な要因になるとの考えを示した。写真はフランクフルトの本店、昨年3月撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[フランクフルト 7日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は7日、ユーロ高はすでにインフレ率に影響を及ぼしているとし、ECBは緩和策縮小をどのように進めるか検討するにあたりユーロ相場が主要な要因になるとの考えを示した。
ECBはこの日の理事会で主要政策金利を予想通り据え置くとともに、政策ガイダンスも維持。月額600億ユーロ(717億6000万ドル)の資産買い入れを少なくとも12月まで継続するとの姿勢を変えなかったことで、買い入れプログラムのテーパリング(段階的縮小)は現在一部の市場予想より緩やかなペースになる可能性があることが示唆された。
ユーロ
ドラギ総裁の記者会見中にユーロは1.20ドルを超える水準に上昇、9日ぶりの高値を付けた。
ドラギ総裁はまた、政策の道筋の「順序」については討議しなかったことを明らかにし、「金利は長期間にわたり、資産買い入れ期間を超えて現在の水準にとどまる見通しとなっている」と発言。利上げは資産買い入れ策終了後になることが示唆された。このほか資産買い入れプログラムについて、買い入れを加盟国の出資比率に応じて行うECBの「キャピタルキー」規定、および同プログラムへの新たな手段の導入についても討議されなかったことも明らかにした。
ECBは今回の理事会でガイダンスをそのまま維持。理事会は「見通しが悪化すれば、プログラムの規模/期間を拡大する用意がある」とし、必要に応じて資産買い入れを拡大するとの選択肢も維持した。
ユーロ圏では経済成長が堅調となるなかでも、労働市場にスラック(緩み)が存在し、賃金に有意な上昇が見られないなかインフレ率はECBの目標を下回っており、ECBが資産買い入れ縮小の是非を決定するにあたり頭が痛い問題となっている。
ドラギ総裁はインフレ見通しが低下していることについて、ユーロ高が背景にあると指摘。ただインフレ率は2020年にECBの目標と一致するとの見方を示した。ECBは12月に同年のインフレ率見通しを公表する。
ECBは今回の理事会で変更を最小限にとどめたが、年内の理事会は10月26日と12月14日のあと2回しかなく、ECBに残された時間は多くない。ただ、ドラギ総裁は今後の見通しについて「決定の多くは大方10月になされる」と述べるにとどめた。
今回の理事会についてRAMアクティブ・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、Gilles Pradère氏は、為替相場などが金融情勢に影響を及ぼすためECBの政策調整は「非常に緩やかな」ものになると予想。
INGのエコノミスト、カーステン・ブレゼスキ氏は「ECBは今後の計画の詳細は明らかにしなかったものの、金利を押し上げず、一段のユーロ高を最小限にとどめながら、非常にスムーズな緩和縮小の準備を進めるとの意思は明確に表明した」と指摘。「こうしたことは緩和縮小がわれわれの当初の予想よりも幾分緩やかになることを示唆している」とし、ECBは来年1月から買い入れ規模を月額400億ユーロに減額することを10月の理事会で決定するとの見方を示した。
*見出しを修正しました。