ニュース速報

ビジネス

インタビュー:資源下振れでも4000億円の基礎営業CF安定創出=三井物産社長

2017年05月24日(水)20時28分

 5月24日、三井物産の安永竜夫社長は資源価格の変動リスクに向き合う中で、経営の舵取りにおいては、キャッシュフローを重視する姿勢をあらためて示した(2017年 ロイター/Issei Kato)

[東京 24日 ロイター] - 三井物産<8031.T>の安永竜夫社長は24日、資源価格の変動リスクに向き合う中で、経営の舵取りにおいては、キャッシュフローを重視する姿勢をあらためて示した。その上で、安定的に4000億円規模の基礎営業キャッシュフローを継続的に生み出すことに自信を示した。ロイターのインタビューで語った。

三井物産は9日、2020年3月期を最終期とする中期経営計画を発表。重点施策のひとつとして「キャッシュフロー経営の深化」を掲げ、前期に4948億円だった基礎営業キャッシュフローを2020年3月期に6300億円まで引き上げる計画を明らかにした。

2016年3月期は資源分野の巨額減損により創業以来初の最終赤字に転落したが、安永社長は「キャッシュは回っていた」と指摘。会計上の最終損益を重視する経営は「20─30年でペイバックを考える資源ビジネスには合わない」と述べ、「キャッシュにもっと重きを置く」と強調した。

2017年3月期は最終利益3061億円のうち、非資源分野で過去最高となる1466億円を稼ぎ出した。今後も機械・インフラ、化学品の収益拡大を見込んでいる。

こうした状況を踏まえ、安永社長は仮に資源価格が下振れしたとしても、安定的に4000億円規模の基礎営業キャッシュフローを生み出すことは「間違いなく達成できる」と自信を示した。

基礎営業キャッシュフローは投資や借金返済、配当の原資となり、同社はこの4000億円を前提に、年間配当総額1000億円の下限を設定している。

3年間の投資額としては1.7─1.9兆円を計画しており、金属資源・エネルギー、機械・インフラ、化学品の中核3分野に65%、モビリティ、ヘルスケア、ニュートリション・アグリカルチャー(農業・畜産、食など)、リテール・サービスの成長4分野に35%を振り向ける予定。

安永社長は「市況の変化の中でも、キャッシュをきちんと生み出せる資産に限定にして投資をする」と強調。「この数年コスト削減を徹底的にやってきた鉄鉱石、LNG、原油は相当競争力があると思っており、この分野でこれと同水準の(競争力のある)ものが出てくれば新規案件もやる」と語った。

地政学リスクや保護主義の台頭など、経営環境に不透明感が増していることに対しては「集中化リスクを排除するしかない」として「大きくどこかに一点張りをするのは危険で、地域ポートフォリオをしっかり効かせないといけない」との認識を示した。

(大林優香 志田義寧)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国BYD、工場建設で数百人が非正規ビザで入国=ブ

ビジネス

シェル、第4四半期LNG生産量を下方修正 トレーデ

ビジネス

下手なデフレ脱却宣言、政策変えデフレに逆戻りのリス

ワールド

尹氏への拘束令状執行、捜査当局が熟慮 大統領代行は
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 2
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 3
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 9
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 10
    【クイズ】ゴールドマンサックスが予測! 2025年にGD…
  • 1
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 2
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 3
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 4
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを…
  • 7
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 8
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 9
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 10
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中