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インタビュー:資源下振れでも4000億円の基礎営業CF安定創出=三井物産社長
5月24日、三井物産の安永竜夫社長は資源価格の変動リスクに向き合う中で、経営の舵取りにおいては、キャッシュフローを重視する姿勢をあらためて示した(2017年 ロイター/Issei Kato)
[東京 24日 ロイター] - 三井物産<8031.T>の安永竜夫社長は24日、資源価格の変動リスクに向き合う中で、経営の舵取りにおいては、キャッシュフローを重視する姿勢をあらためて示した。その上で、安定的に4000億円規模の基礎営業キャッシュフローを継続的に生み出すことに自信を示した。ロイターのインタビューで語った。
三井物産は9日、2020年3月期を最終期とする中期経営計画を発表。重点施策のひとつとして「キャッシュフロー経営の深化」を掲げ、前期に4948億円だった基礎営業キャッシュフローを2020年3月期に6300億円まで引き上げる計画を明らかにした。
2016年3月期は資源分野の巨額減損により創業以来初の最終赤字に転落したが、安永社長は「キャッシュは回っていた」と指摘。会計上の最終損益を重視する経営は「20─30年でペイバックを考える資源ビジネスには合わない」と述べ、「キャッシュにもっと重きを置く」と強調した。
2017年3月期は最終利益3061億円のうち、非資源分野で過去最高となる1466億円を稼ぎ出した。今後も機械・インフラ、化学品の収益拡大を見込んでいる。
こうした状況を踏まえ、安永社長は仮に資源価格が下振れしたとしても、安定的に4000億円規模の基礎営業キャッシュフローを生み出すことは「間違いなく達成できる」と自信を示した。
基礎営業キャッシュフローは投資や借金返済、配当の原資となり、同社はこの4000億円を前提に、年間配当総額1000億円の下限を設定している。
3年間の投資額としては1.7─1.9兆円を計画しており、金属資源・エネルギー、機械・インフラ、化学品の中核3分野に65%、モビリティ、ヘルスケア、ニュートリション・アグリカルチャー(農業・畜産、食など)、リテール・サービスの成長4分野に35%を振り向ける予定。
安永社長は「市況の変化の中でも、キャッシュをきちんと生み出せる資産に限定にして投資をする」と強調。「この数年コスト削減を徹底的にやってきた鉄鉱石、LNG、原油は相当競争力があると思っており、この分野でこれと同水準の(競争力のある)ものが出てくれば新規案件もやる」と語った。
地政学リスクや保護主義の台頭など、経営環境に不透明感が増していることに対しては「集中化リスクを排除するしかない」として「大きくどこかに一点張りをするのは危険で、地域ポートフォリオをしっかり効かせないといけない」との認識を示した。
(大林優香 志田義寧)