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ブレイナードFRB理事、「フィンテック」の恩恵とリスクに言及
12月2日、ブレイナードFRB理事は「フィンテック」導入は金融部門を劇的に変えるものの、消費者や金融システムを守るものでなければならないと述べた。写真は2015年4月、ワシントンで撮影(2016年 ロイター/Yuri Gripas/File Photo)
[ワシントン 2日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は2日、首都ワシントンで開かれた金融業界の技術革新に関するイベントであいさつし、インターネットの検索だけを使って、融資申し込みや信用審査のスピードを上げる技術の導入は、金融部門を劇的に変えることになると述べた。
その上で、理事はこうした技術革新は消費者と金融システムを守るものでなければならないと指摘。金融とIT(情報技術)を融合する「フィンテック」産業の台頭が著しいが、特定地域の住民に融資をしないなどの差別があってはならないと強調した。
理事は、ハイテク分野では「速く走り破壊せよ」というのが合言葉になっているかもしれないが、こうした考え方は「信用と信頼が必要な分野には適していない」と述べた。
理事は「例えば、スマートフォンを使って維持不可能な融資を受けられるようになれば、消費者にとっては間違った映画をダウンロードしたり、問題ある音声ファイルを聴いたりする場合よりも深刻で長期にわたる結果が待ち受けることになる」と述べた。
理事は、金融テクノロジー企業によって開発されたアプリや新しい技術の中には、家計や中小・零細企業に大きな恩恵をもたらすものもあるとも指摘。お金に困っている労働者は、給料日を待つことなく、働いた分だけ賃金を受け取ることが可能になり、 利息の高い短期のローンで資金繰りをつなぐ必要がなくなるかもしれないとした。
ただ、一方で「社会に恩恵をもたらす形で金融へのアクセスを広げるのではなく、コストの高いローンの市場に送り込むための媒体を提供したり、デジタル版の融資差別を招いたりするだけなのであれば、(消費者にとっての)機会は失われることになる」と警告した。
FRBは金融システムの仕組みを変革しようとしている「フィンテック」の新技術や発想について幅広い研究をしている。こうした研究は、申請者のオンラインのプロフィールや行動に基づいて融資審査するソフトウエアから、仮想通貨の基盤技術として開発され、金融企業が暗号化された台帳を共有するために使われる「ブロックチェーン」まで広範な分野に及んでいる。
これらのハイテク企業が消費者の保護や安全・健全性に関する既存の規定に従っているか確認することと並行して、フィンテックではハッキングやその他のサイバー攻撃に対する防御が重要になる。
この点に関し理事は、FRBによる審査の目的は、技術革新を促進すると同時に「リスクが十分に理解され、管理されているかを確認するため警戒を怠らないこと」にあるとした。