ニュース速報

ビジネス

米10月雇用者数16.1万人増、堅調な賃金増で12月利上げ後押し

2016年11月05日(土)04時52分

 11月4日、10月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が16万1000人増となった。写真はニュージャージー州の就職フェアの参加者。2011年1月撮影。(2016年 ロイター/Mike Segar)

[ワシントン 4日 ロイター] - 米労働省が発表した10月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が16万1000人増となった。予想の17万5000人増を下回ったものの堅調なペースは維持されており、米連邦準備理事会(FRB)の12月の利上げに向け地合いが整いつつある可能性がある。

失業率は4.9%と、前月の5.0%から低下した。低下は労働参加人口の減少を反映していると見られる。

8月と9月の非農業部門雇用者数は従来発表より4万4000人上方修正された。

賃金は前月比0.4%増え、伸びは前月の0.3%増から加速。前年比では2.8%増と、2009年6月以来の大幅増となった。ただ日数のねじれによる押し上げ効果もあるとみられている。

ドイツ銀行の為替分析部門グローバル共同責任者、アラン・ラスキン氏は「データは総じて、FRBによる12月の利上げと完全に整合する内容」と話す。

バンク・オブ・ザ・ウエストのチーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は賃金増について「平均的な労働者にとっては朗報だ。給与が増え自由に使える額もやや上向くだろう。退職後に備えた貯蓄を積み増すかもしれない」と述べた。

ただ12月利上げは、終盤戦で大接戦の様相となっている米大統領選の行方に左右される公算が大きい。

キャピタル・エコノミクスのチーフエコノミスト、ポール・アシュウォース氏は「選挙結果がかなりの僅差となり、候補者のいずれか、もしくは双方が法廷での決着に持ち込む事態になれば、FRBの利上げ計画は頓挫しかねない」との見方を示す。

労働参加率は0.1%ポイント低下の62.8%。

縁辺労働者や経済情勢のためパートタイムで就業している者を加えたより広義のU6失業率は9.5%と、0.2%ポイント低下した。これは2008年4月以来の低水準だ。

業界別では、製造業は9000人減と、3カ月連続のマイナスとなった。一方、建設は1万1000人増と、2カ月連続で増えた。

小売りは年末商戦向けの臨時雇用関連で大きくと伸びるとの予想に反し、1100人減った。

専門職は4万3000人、人材派遣は6400人それぞれ増えた。政府部門も1万9000人増だった。

家計調査では、悪天候のため働けなかったとの回答が増えたが、労働省はハリケーン「マシュー」による統計への影響を見極めるのは困難としている。

米雇用の伸びは、労働市場が最大雇用の状況に近いこともあり減速傾向にある。年初来の雇用の伸びは月間平均で18万1000人と、2015年の22万9000人から縮小している。ただ、イエレンFRB議長は、労働市場への新規参入者を吸収するには月間10万人未満の伸びで十分との考えを示している。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イスラエル、ガザ住民受け入れ巡りアフリカ3カ国

ビジネス

三菱UFJ銀、ジャックスの持ち株比率4割に 約39

ビジネス

アングル:「官僚主義」が阻む景気回復、ドイツ企業が

ワールド

中国・イラン・ロシア、北京で次官級会合 イラン核問
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 5
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 10
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中