ニュース速報

ビジネス

米9月雇用14.2万人増に鈍化、前月も下方修正で年内利上げに疑問符

2015年10月03日(土)00時15分

 10月2日、9月雇用者数は14万2000人増にとどまり、伸びは市場予想の20万3000人増を大きく下回った。求職票に記入する女性。6月撮影(2015年 ロイター/David McNew)

[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が発表した9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が14万2000人増にとどまり、伸びは市場予想の20万3000人増を大きく下回った。8月分も13万6000人増に下方修正され、7、8月の伸びは当初よりも5万9000人下回るなど、雇用の勢いに急ブレーキがかかった。賃金も減少し、米経済が年内の利上げに耐え得るのか疑問符がつく内容となった。

失業率は5.1%で変わらずだった。2カ月間の伸びは過去1年間で最低となり、中国をはじめとする世界経済の減速が米経済に影を落としているとの不安を誘いそうだ。

ウエルズファーゴ・ファンズ・マネジメント(ウィスコンシン州)のポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「今回の統計はお世辞にも良い内容とはいえない」と述べた。

内訳では、民間部門で製造関連が9000人減少し、前月の1万8000人減からさらに落ち込んだ。原油価格が1年間で5割近く値下がりするなか、エネルギーなど鉱業関連が1万人減と9カ月連続で落ち込んだ。

家計調査によると、労働人口は35万人減少。就業者数も23万6000人減少した。労働力参加率は62.4%に低下し、1977年以降で最低となった。

時間当たり賃金は25.09ドルで、前月の25.10ドルから微減。前年同月比では2.2%増加した。平均週間労働時間は前月の34.6時間から34.5時間に小幅縮小した。

こうしたなか、長めの時間勤務を希望するパートタイム就業者の数は600万人と44万7000人減少し、数少ない前向きな材料となった。

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は前週の講演で、インフレが引き続き安定的に推移し米経済が雇用拡大に向け力強い状態であれば、FRBは年内に利上げを開始するとの見方を示しているが、今回の雇用統計を受け、年内の利上げ観測は弱まりそうだ。

米短期金利先物が織り込む12月の利上げ確率は27%に低下。雇用統計発表前は44%だった。10月の利上げの可能性はほぼゼロとみられている。

RBCキャピタルマーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーセリ氏は、統計が全般的に弱かったとした上で「軟調な世界動向に今回こうしたさえない指標が加わったことで、12月の米利上げ確率は低下したと考えられる」と述べた。

米大統領経済諮問委員会(CEA)のファーマン委員長は、雇用統計への反応で、軟調な世界経済の影響が米国経済にも波及しており、国内の雇用に影を落としているとの認識を示した。

雇用統計を受け、序盤の米国株式市場では主要株価指数が軒並み1%超下落。米国債利回りは低下し、ドルは主要通貨に対して値下がりした。

*以下の図表もご覧ください。

http://graphics.thomsonreuters.com/14/unemployment/index.html

http://graphics.thomsonreuters.com/14/yellen/index.html

http://link.reuters.com/hyp84w

http://link.reuters.com/nyr52w

http://link.reuters.com/dex79v

http://link.reuters.com/das47s

http://link.reuters.com/rum98v

http://link.reuters.com/wym98v

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米相互関税発表受け

ビジネス

米国株式市場=相互関税発表後に先物下落、通常取引は

ビジネス

米金利先物市場、FRB利下げ開始6月の見方強まる

ワールド

トランプ米大統領の相互関税、一律10%に 日本への
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中