ニュース速報

ビジネス

機械受注4月は約7年ぶり9000億円台回復、設備投資持続へ期待浮上

2015年06月10日(水)11時26分

 6月10日、内閣府が発表した4月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比3.8%増の9025億円となった。2カ月連続の増加。都内で2月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)

[東京 10日 ロイター] - 内閣府が10日に発表した4月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、事前のマイナス予想をくつがえして2カ月連続で増加した。受注額も2008年7月以来の高水準で、リーマン・ショック後では初めて9000億円台を回復。1─3月期国内総生産(GDP)では設備投資持ち直しが確認されたが、先行指標の機械受注の好調が設備投資の持続的回復につながることへの期待も出てきた。

4月の結果は、前月比3.8%増の9025億円となった。2カ月連続の増加。ロイターの事前予測調査では2.0%減と予想されていたが、これを上回った。前年比でも3.0%増だった。前月は大型案件が複数あったが今月はゼロだったにもかかわらず、強めの結果となった。

けん引したのは製造業で、前月比10.5%増、前月から大幅に伸びを高めた。受注額は、08年10月以来の高水準となった。

電機や自動車といった基幹産業からの受注がけん引、電機では半導体製造装置など、自動車では工作機械、産業用ロボットの受注が活況だった。

非製造業(除く船舶・電力)は3月の反動減で同0.6%減。通信業や情報サービス業からの受注が一服した。

内閣府がとりまとめた4─6月期の受注見通しでは、1─3月期までの3四半期連続増加の反動もあり、前期比7.4%減と減少に転じる予想だが、4月が強めの結果となったこともあり、内閣府試算では5、6月が横ばいで推移したとしても、4─6月期は5%を超える強い伸びになる。

他方、外需は同7.0%減だった。2カ月連続の減少。世界経済の設備投資鈍化を反映している可能性もある。

内閣府は、機械受注の判断を前月の「緩やかな持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に変更した。

結果を受けてエコノミストからは、設備投資の増勢持続に関して、見方が分かれている。

クレディスイス証券・白川浩道・チーフエコノミストは「企業設備投資に関しては、循環的な更新投資は、当面は、回復局面にあると予想されるが、企業利益の伸び悩みと製造業設備稼働率の足踏み状態を考えれば、回復力が高まるシナリオは描けない」としている。

他方で、農林中金総合研究所の南武志・主席研究員は、法人企業統計やGDPからすでに設備投資の持ち直し傾向が明確になってきたとしたうえで、「4─6月期以降、米国経済が堅調さを取り戻し、かつ夏季賞与の支給時期前後から民間消費の持ち直し傾向が強まってくると思われ、それらを受けて、今後とも企業設備投資は底堅く推移する」と予想している。

*内容を追加します。

(中川泉 編集:内田慎一 野村宏之)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マグニフィセント7決算発表開始、テスラなど=今週の

ワールド

イスラエル首相「勝利まで戦う」、ハマスへの圧力強化

ワールド

対米関税交渉、日本が世界のモデルに 適切な時期に訪

ワールド

米イラン、核合意への枠組みづくり着手で合意 協議「
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪肝に対する見方を変えてしまう新習慣とは
  • 3
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず出版すべき本である
  • 4
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 9
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中