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ドル119円後半、自民・山本議員発言がショートカバー誘う

2015年04月01日(水)16時01分

 4月1日、午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点に比べ、ドル安/円高の119円後半だった。ブダペストで2011年11月撮影(2015年 ロイター/Laszlo Balogh)

[東京 1日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点に比べ、ドル安/円高の119円後半だった。午前は日経平均株価が下げ幅を拡大するなどリスクオフの流れの中でドル/円も下げ足を速めた。午後にかけて戻りが鈍く、119円半ばでもみ合っていたが、自民党の山本幸三衆議院議員の発言が海外勢に伝わるとショートカバーを誘い、一時120円台を回復した。

日経平均がマイナス幅を広げ一時1万9000円を割り込むと、ドル/円は仲値を挟んで下げ足を速め、一時119.42円まで下落した。ただ、その後、株価が下げ幅を縮めるとドル/円もやや値を戻した。

仲値にかけては、日本勢からの売りが優勢となったとみられる。ただ、きょうの相場の動きについては、受け止め方がわかれている。「期末・期初のオペレーションが続いており、特殊な動きといえる。トレンドだとは考えない方がいい」(国内金融機関)との見方があった一方、前日の米株安からリスクオフの流れの兆しを感じ取る向きもある。「新年度は株買い・ドル買い再開かというムードだった中で、短観の下振れが多少はインパクトを与えた面もあったのかもしれない」(同)との声も聞かれた。

きょうから日本は新年度に切り替り、新たなポジションを構築する動きが出始めていたもよう。ドル/円では、日米の金融政策格差を捉えてドル買い/円売りから入ろうとしていた向きが多いと見られ、朝方からのドル売りの流れで「冷や水を浴びせられた」(国内金融機関)との声も出ていた。

<自民・山本議員、追加緩和は4月30日会合が「良いタイミング」>

ドルは119.42円をつけた後、小幅に持ち直し、119円半ばを中心にもみ合っていたが、午後、自民党の山本幸三衆議院議員がロイターとのインタビューで、追加緩和のタイミングとして4月30日の会合が「良いタイミング」と指摘したことが英文で伝わり、投機筋のショートカバーを誘った。

市場では「欧州勢の参加に伴い、株のショートカバーがまず優勢になり、ドル/円でも買い戻し気運が広がった」(外銀)との指摘もあった。

山本衆議院議員は、日銀短観など最近の経済指標を踏まえた景気情勢には足踏み感があり、注意が必要と語った。物価がマイナスに陥る可能性も指摘し、追加緩和が必要だと述べた。追加緩和のタイミングについては「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が公表になる4月30日会合が「良いタイミングだ」と指摘した。

<日銀短観、企業想定為替レートは「保守色」にじむ>

朝方に日銀3月短観が発表された直後、ドル/円はやや弱含んだ。大企業製造業・業況判断DIにそれほど加速が見られず、先行きも市場予測を下回っており、「消費増税後の低迷が思った以上に長引いている印象だ」(国内金融機関)との声が出ていた。

大企業製造業・業況判断DIはプラス12で、ロイター予測のプラス14を下回った。大企業製造業・業況判断DIの先行きはプラス10で、予測のプラス16を下回った。

みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト、鈴木健吾氏は「消費者物価指数がゼロ%近辺に低下し、次回短観で現況や先行きの業況判断が停滞・悪化となれば、日銀に対する追加緩和圧力となる可能性がある」と指摘した。

2015年度の大企業・製造業の想定為替レートが111.81円と、実勢に比べて円高となっていることについて、鈴木氏は「保守色が強まっている。市場はそこまでの円高は見込んでいないので、企業業績の上振れ予想につながりそう。景気が停滞する可能性に対するバッファーのような印象だ」との見方を示した。

<中国指標には反応薄>

中国の製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されたが、ドル/円の反応は限定的だった。3月の中国製造業PMIは50.1となり、市場予想49.7を上回った。前月の49.9も上回り、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を上回った。

ただ、市場では「誤差の範囲だろう。ただちに楽観できるわけではない」(外資系金融機関)との声が出ていた。中国非製造業PMIは53.7で、2月の53.9から低下した。

一方、HSBC/マークイットが発表した3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.6だった。速報値の49.2からは上方修正されたものの、景況改善と悪化の節目である50を下回り、2月(50.7)から大幅に悪化した。相場の反応は限定的だった。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト、村田雅志氏は、HSBCの2月分は旧正月の影響がありイレギュラーだった可能性があるとみており「中国景気は最悪期を脱したようだ」(村田氏)と見ている。

ただ、朝方に当局が発表した分では輸出向け新規受注が50を割れていることなどから、村田氏は民間部門の自律回復というストーリーはまだ描きにくいとも指摘。「政府の支援待ちの面があるが、どの程度、政府がコミットするかは見通しにくく、中国景気の先行き期待は盛り上がりにくい」として、交易関係の深い豪ドルやブラジルレアルの重しになりやすいとの見方を示している。

ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 119.81/83 1.0778/82 129.14/18

正午現在   119.54/56 1.0777/81 128.84/88

午前9時現在 119.98/00 1.0738/42 128.84/88

NY午後5時 120.13/14 1.0735/40 128.85/89

(為替マーケットチーム)

ロイター
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