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アングル:ロシア市場に外国人回帰の動き、運用成績は意外に好調

2015年03月18日(水)17時01分

 3月16日、ロシア株や債券への投資は今年、意外にも好成績を収めており、新興市場の中でも高いリターンを誇っている。写真はモスクワ市内を歩く人々、2月撮影(2015年 ロイター/Maxim Shemetov)

[ロンドン 16日 ロイター] - ウクライナ危機や欧米の制裁を嫌気して、昨年は外国人投資家が大挙して逃げ出したロシア市場だが、ロシア株や債券への投資は今年、意外にも好成績を収めており、新興市場の中でも高いリターンを誇っている。

昨年は、ロシアの主要輸出品である原油価格の急落や、5月から12月にかけて50%も下落したルーブル相場も、外国人退出を促した。

こうした懸念材料が一掃されたわけではない。しかし今年に入って原油価格は25%上昇し、ルーブル相場も落ち着きを取り戻した。昨年は利上げしたロシア中銀も、先週末に政策金利を14%に引き下げた。

GAMの新興市場投資ディレクター、ポール・マクナマラ氏は「当社は昨年2月ごろから(ロシアでは)何も保有していなかったが、12月以降はロシア投資を再開している」とし、割安感が一因と述べた。

マクナマラ氏のような投資家は今年、大いに報われている。ロシアの株式と債券はリターンが5%を上回っており、以下のグラフィックでも明らかなように、他の新興市場の大半よりも高い水準になっている。

ボストンに拠点を置くデータ会社EPFRグローバルによると、ロシア債券ファンドには今年になって、1億1600万ドルが流入した。

期間1年のロシアの地方債利回りは現在、13%程度となっているが、一部の投資家は、政治リスクを補って余りある、と考えている。ドル建て債券の利回りは、米国債よりもおよそ5%ポイント高く、ロシアよりも格付けがずっと低いエチオピアやパキスタンに近い水準にある。

おまけに、欧米の制裁により、ロシア政府と企業は新たな債券発行が事実上できなくなっていることから、ロシアのソブリン債務の残高は現在540億ドル程度となっており、1年前より20億ドル減少した。

UBSウェルス・マネジメントの新興市場投資責任者、コスタ・ヴァヤナス氏は、ロシアを「アンダーウェートにしていない」と話す。

「ロシア政府はやろうと思えば、きょう午後にでも債務を全額返済することができる。それを考えると非常に割安」との見方を示した。

<配当利回りの高さも魅力>

ロシア株も今年、他の新興市場をほぼすべてアウトパフォームしている。ドル建てで見ると、ロシア株は年初から15%上昇している。

EPFRによると、ロシア株ファンドは、ほかのどんな途上国グループよりも運用成績が良好で、年初から4億ドル以上が流入した。

ロシアでは小売売上高が減少、賃金も伸びず、設備投資も低調と、実体経済は最悪。それなのになぜ、株価が上昇しているかと言えば、その理由の一つはやはり割安感だ。ロシア株は、将来の予想収益に基づく株価収益率(PER)が他の新興市場の少なくとも半分の水準にある。

GAMで新興市場株ファンドを運用するマット・リンゼー氏にとって、ロシア株の魅力は、世界的に見ても高水準の配当利回りだという。

リンゼー氏は「ロシア株の一角は、配当を大幅に増やしている」と指摘。「各社は株主への還元強化している」と話した。

例えば、独立系天然ガス企業のノバテクは、配当を3分の1増やす計画。石油大手のルクオイルは、原油価格が1バレル=40ドルに下落しても、配当は維持するとの方針を示している。

ロシア市場の上昇が続くのかどうかは、原油価格の動向や欧米による制裁の行方次第だが、多くの投資家は先行きに確信を持てないでいる。

スタンダード・ライフ・インベストメンツの債券ファンドマネジャー、キーラン・カーティス氏は「経済や市場以外の部分でリスクがある」と考え、今のところはロシア投資に慎重になっているという。

*写真を差し替えました。

(Karin Strohecker記者、Sujata Rao記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子)

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